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2010年02月24日

学習と科学

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皆様

今日、娘がとっている「3年の科学」3月号が届きました。
いつもの本と付録の他に、今回は「おうちの方へ」
と書かれた封筒が入っていました。

以前にも書きましたが、「学習」と「科学」は
3月号をもって休刊となります。
私は小学生の頃、「学習」と「科学」の両方を
買ってもらっていました。
今では考えられませんが、
その頃この雑誌は学校を通じて販売されていました。

つまり、毎月の発売日には、学校で受け取るのです。
付録をすぐにも開きたいところですが、
さすがに学校でそれはできません。
早く付録を開けたくて、毎月発売日は付録を抱えて
飛ぶように家に帰っていたのを思い出します。

数ヶ月前にニュースは聞いていましたが
自分が子供の頃読んでいた雑誌の最終号を
娘が手にしているのを見ると、感慨深いものがあります。

一応休刊となっていますが、復活する日はくるのでしょうか
「大人の科学」は売れているのにね。

高橋 徹より

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2010年01月07日

amazonキンドル

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皆様

新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

このタイトルで何の話か分かりますか? 
電子書籍端末の話です。
ちょうど一年前に、出張や普段使いのカバンの話をしました。
http://linear-collider.org/dialogue/2009/01/
カバンも重要ですが、入れて持ち歩く物を
いかに軽くできるかも大事です。

研究会や会議の際には
どうしてもある程度紙の資料を持ち歩く必要があります。
それに長時間の移動の時には、小説なども欲しいですね。
紙の資料や本はかなり重いし、かさばります。

特に英語のペーパーバックなどは、分厚い物が多くあります。
表意文字を使う日本語のすばらしさを実感する時です。
そんなこともあり、以前から電子書籍には注目していました。
それもいちいちパソコンで読むのではなく
もっと手軽に読める方法で、です。

最近携帯電話で小説や漫画を読むのが流行りはじめていますが
電子書籍を読むための専用端末というのがあります。
日本でも数年前にソニーや、パナソニックが発売したのですが
売れなかったようで撤退してしまいました。
でも外国では結構売れているのです。
ソニーも米国では販売を続けています。
どうして日本ではダメだったのでしょうね。

そういえばスマートフォンも国外では以前から人気があったのですが,
日本で売れ始めたのはつい最近。
(この話もカバンの話とあわせてしましたね。)
不思議です。

さて、電子書籍端末のひとつにamazonが出している
キンドル(kindle)というのが
あります。これが結構良いらしくて注目していたのですが
最近日本向け(実際は世界100カ国向け)にも販売が始まりました。
なんとこれ、amazonでキンドル用の本を買うと
携帯電話の回線を使って1分ほどで自動的に手元の端末に
送られてくるのです。
PDFファイルも読めます。

これで、小説(残念ならが英語のみです)も資料も
これ一つで持ち歩けます。
重さは300gですが、小説1500冊分の容量があります。
というわけで買ってしまいました。
(家族には、自分で自分のためのサンタをやったと
言い訳しています。)

購入して日が浅いので、本格的使うのはこれからですが
小説も資料も読めます。
ただ著作権の関係で、日本では購入できない本があります。
もともと小説用で、画面が小さいので、
英語の論文だとかなり文字が小さくなりますが
解像度が良いので、読めないことはありません。

発表用のスライドや日本語の資料は、十分読むことができます。
(大きなサイズもあるのですが公式に日本向けでないことや
重さが500gを超えるのでやめました。)

これで長時間のフライトも苦にならない、、、かな?

高橋徹より

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2009年12月30日

新年はラジオから

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皆様

早いもので今年も残すところあと少しとなりました。
今年もいろいろありましたね。
この往復書簡でも今年を振り返ろうと思っていたのですが
それより先に来年の話題が飛び込んできました。

今年は 1 月の始めに新聞で私の研究やILCの話が紹介されました。
(あれれ、この話はこの物理屋往復書簡では
お話していなかったようです。)
来年は新年早々ラジオに登場することになりそうです。
一昨年の夏に,国際ガンダム学会準備会議に出席したことは
お話したと思います。
http://linear-collider.org/dialogue/2008/08/post_70.html
その話を聞きつけた広島のラジオ局から
ロボットアニメについて話を聞きたいと行ってきました。

1 月 16 日に
「中四国ライブネット 広島発!
人生で大切なことはすべてアニメから教わった~昭和アニメ人生訓~」
という番組で放送したいのだそうです。

ロボットは全くの専門外ですので、ディレクターの方に
「ロボットは専門ではないですよ。
どちらかというと、今年の 8 月に中高生向けにお話しした
"物理学からみた空想科学の世界"の方が
番組の趣旨にあったお話ができかもしれません。」
というようなことお話ししました。

そうしたら
「宇宙戦艦ヤマトで描かれたSFはどこまで現実可能か?」
をテーマにしたいということになりました。
確かに私は宇宙戦艦ヤマトの世代です。
たぶんほとんど見ていると思います。
う~~ん、どんな話になるかな。

正月の宿題ができました。
素粒子や宇宙やILCの話を挟むことができるのかどうか
やってみなければ分かりませんが。
どんなことになるか楽しみです。

取材(録音)は 1 月 8 日、
ボツにならなければ 1 月 16 日の午後 6 時から放送されます。
その顛末は新年のお楽しみです。

高橋 徹より

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2009年12月17日

ミュンヘン便り

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皆様

 11月20日に高松で高校生向けにセミナー
(お昼は讃岐うどんの有名店に連れて行ってもらいました)
11月22日から26日までミュンヘン、
11月28日は大学で女子中高生対象のセミナーと
慌ただしい日が続きました。
話題がたまっていますが、まずミュンヘンの話からしましょう。

今回は、最近検討している研究計画の打合せと情報収集でした。
とても強度の高いレーザーと電子をぶつけてみようという
ちょっと乱暴(?)な話です。
高エネルギー加速器実験とは少し違う観点から素粒子実験が
できるかもしれないということを検討しています。

ところで、ILCもそうですが
一般に素粒子実験の計画は
過去の実験や理論を土台にして、
可能性や実現性をできる限り詳細に検討しています。
高強度レーザーの話も、もちろんいろいろ検討しているのですが
素粒子実験の感覚からいうと、
おおざっぱというか「面白そうだからやってみよう」
という考えが強めにでています。

日本でこのような計画は
あまり一般的ではないと思いますが
最近ヨーロッパで Extreme Light Infrastracture (ELI) という
高強度レーザーの大プロジェクトが動きはじめました。

このプロジェクトは、基礎物理から応用まで含んだ大きな計画で
多くの人による詳細な検討がなされていますが
それでもこの計画が実現する背景には
「何が起こるか分からないけれどもやってみよう」
ということに関する寛容さがあるような気がします。
岩田さん、山本さんはいかがお思いですか。

ミュンヘンのビアホールの報告は次回にしましょう。

高橋 徹より

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2009年11月16日

Re:続ロシア・スタイル

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皆様

少し前の書簡ですが、
山本さんと岩田さんのロシアについてのやりとりを読んで、
昨年行ったノボシビルスクのことを思い出しました。
http://linear-collider.org/dialogue/2008/05/
アメリカやヨーロッパに比べると、強烈な印象でした。

世界有数の大国のはずなのに、
サスペンションが壊れたぼろぼろのバスが
いたるとこで現役だったり、
町を走っている車のボディには
外国語がそのまま残っていたり
日本では考えられません。

その中に混じって、高級車もちゃんとあります。
町のスーパーは、欧米諸国と遜色ない品揃えです。
不思議な感覚でした。

でも、今一番記憶に残っているのは、モスクワ空港です。
ノボシビルスクからの帰りは、
モスクワ空港の国内線ターミナルに到着して
それから国際線ターミナルに移動するのですが
行き方が全く分からない。

航空会社の連絡バスがあるはずなのですが、
待てども待てども来ません。
(行きの国際線から国内線への移動の時はすぐにあったのです。)

外でしばらく待っていたのですが、
あきらめて公共交通機関のバスで移動することにしました。

バス乗り場は長蛇の列。
それに乗車に異様に長い時間がかかります。
乗るときに分かったのですが、
バスの運転手が乗客1人1人にチケットを売っています。
時間がかかるはずです。
でも、受け取ったチケットは磁気メモリーの入った
ハイテクのものです。変ですね。

そんなこんなで、ほんの数キロメートルの移動に
何時間もかかりました。
5 月だったので、外で来ないバスを待っていても
大丈夫でしたが、これが寒い時期たったらと思うと
ぞっとします。

まだまた驚いたことはたくさんあったのですが、
とても書ききれません。

これでも以前に比べると、はるかに良くなったと聞いています。
こんな冒険旅行を苦にしない方もたくさんいるでしょうが
私はまた行こうと言う気にはなかなかなりません。

高橋 徹より

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2009年11月06日

小学五年生と六年生

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皆様

新聞に学習雑誌「小学五年生」と「小学六年生」が
今年末で休刊になるという記事が出ていました。
87年の歴史に幕だそうです。

私が小学生の頃は「小学○年生」シリーズは
「○年の学習と科学」と並んで小学生向け学習雑誌の定番でした。
いつも買ってもらっていたと記憶があります。

その頃は、「オバケのQ太郎」や「ドラえもん」が連載されていました。
「ポケモン」も掲載されていたそうですね。

休刊のニュースを聞いてすこし寂しい気がします。
少子化もあるでしょうが、時代が変わったのでしょう。
考えてみたら、私の家でも「小学○年生」は買っていません。
「科学」は気に入っているようで買っていますが
これもいつの間にか季刊になったようです。

その一方で「大人の科学」など、大人向けの科学や趣味の本は
人気があるようです。
小学生シリーズも大人向けの学習雑誌に衣替えするのかな?
(実際は高学年向けマンガ雑誌を創刊と出ていました。)

高橋 徹より

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2009年08月16日

Re:Re:映画 『天使と悪魔』

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天満様

『天使と悪魔』は、結局見に行けませんでした。
本は読んだので、ストーリーはだいたい知っていますが。

それでは、ご質問に回答してみます。

> 1. 反物質って持ち出せるんですか。(持ち出せないですよね)

> 2. 反物質の保存の仕方を教えてください。
> 映画ではバッテリーがでてきましたが、電池で浮かせているのですか。
> そうしたら、停電になって緊急用の電源も作動しなかった場合
> 爆発しそうで怖いのですが。

1 と 2 は、一緒に考えてみましょう。
小林・益川理論を証明したKEKのBファクトリーですが
これは電子の反物質である陽電子を蓄積していると言って
よいでしょう。
その量は世界一でしょうね。
ただし周長が 3 kmの円形加速器の中、それも地下にあるのですから
とても持ち出すことはできません。
もちろん、もっと小さな装置で蓄えることもできます。

装置そのものは、ある程度小型にできますが
反物質を空中に浮かせて蓄えるには、
電界や磁界をつくる装置が必要です。
中を真空にするためのポンプも必要です。

物語の中では磁界を交差させて
反物質を浮かせているという感じだったようですが
実際には、磁界と電界を組み合わせたものがよく使われています。
でもバッテリーだけで動いて、持ち運べるものは見たことありません。

> そうしたら、停電になって緊急用の電源も作動しなかった場合
> 爆発しそうで怖いのですが。

大丈夫です。そんな量の反物質は作れませんから。

> 3. 反物質を人工的に作り出す意味を、あらためてお教えいただけませんか?

私たちの立場から言えば素粒子実験です。
小林・益川理論を証明した KEK の B ファクトリーに
陽電子は必須でしたし、ILC も電子・陽電子衝突型です。
最近は陽電子を使って、物質の内部の様子を調べる研究も行われています。

研究以外でも最も有名なのは、やはり PET (陽電子断層撮影)による
ガンの早期発見でしょうか。
広島にも数年前に PET 施設ができました。

高橋 徹より

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2009年08月10日

オープンソースの話

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皆様

財務大臣の与謝野馨さんが、パソコンについて語っている様子が
web 上で配信されています。
与謝野さんといえば、ILC にとても理解のある方ですが
与謝野鉄幹・晶子の孫ということから
文系の方という先入観がありました。

ところが web を見ると、パソコンやコンピュータ技術に
とても造詣が深いことがわかります。(というよりもオタクに近いかも)
今回は、オープンソースについての話もされています。
オープンソースというのは、コンピュータのソフトウェアの
プログラムを公開してみんなで開発していこうというものです。
Linux や Firefox が有名ですね。

私も Firefox を愛用していますが、世界中の人が拡張機能を開発していて
自分の好みに合わせてカスタマイズできます。
私のパソコンの OS は Windows ですが、
その中で使っているソフトには、オープンソースのものがかなりあります。

最近、高エネルギー物理学の研究では、
Linux を使うことが多くなっています。
(高エネルギー業界で根強い人気のある MAC OS も
BSD という Unix 系の OS です。)
私はここ何年か、パソコンは文房具として使うことの方が多くて
日常は Windows を使っています。
先日久しぶりにシミュレーションをする必要があって
Linux を使いました。

(何のシミュレーションかって? 
先日報告した「物理学から見た空想科学」のネタ作りのために
空気中で陽電子を飛ばしたらどうなるかやってみたのでした。
何の事か分かりにくいでしょうか?
陽電子の後に「砲」ってつけてみて下さい。)

Linux もずいぶん使いやすくなって、
文房具ソフト(これもオープンソースですね)もずいぶん充実してきました。
この先どうなっていくのでしょうか。
OS はまだまだ Windows が大きなシェアを占めていますが
google が近々オープンソースの OS を出すようですし
どう変わっていくのか楽しみでもあります。

ところで、オープンソースの話の中で与謝野さんは “TRON” にも
触れられていました。
TRON と言えば、携帯電話や自販機など
私たちの身の回りの機会に広く普及している OS ですが
日米貿易摩擦の荒波に揺さぶられた歴史でも有名です。

もし貿易摩擦などなく、TRON プロジェクトが順調に進んでいたら
オープンソースはもっともっと普及していたかもしれない。
歴史に「もし、たら」をいっても仕方ないですが
与謝野さんの話を聞いて、久しぶりにそんなことを思い出しました。

高橋 徹より

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2009年08月08日

空想科学と物理学

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皆様

広島大学には、「科学わくわくプロジェクトセンター」
というのがあって、中学から高校生を対象に
科学に触れる機会を提供しています。
昨年も科学塾という企画で
高校生の皆さんに 3 日間の授業や実習をしました。

今年は「サイエンスレクチャー広島」という
中学生向けの講演をしました。
講演の内容は「物理学からみた空想科学」です。
高校や一般向けの講演や授業は
年に1,2度やっていますが、中学生向けは初めてでした。

それに日頃「物理学からみた空想科学」を
研究している訳ではありません。
どんな内容にするか、どんなテーマを取り上げるか
準備にはかなり時間がかかりました。
もちろん単なるお話ではなく、素粒子や宇宙物理学への興味を
もってもらうように工夫したつもりです。

さて内容です。
前半は、物理学からみた問題はなく
技術の進歩でできそうなこと、宇宙ステーションなどの話。
それに空想科学といえば、やはり「ビーム」は欠かせません。
ビームを作る道具=加速器という筋で
しっかり ILC も宣伝しました。

話だけでは疲れてしまうので
その後霧箱を使った放射線の飛跡の観測でちょっと息抜き。
この実験はいつも好評です。

最後は「ちょっと難しい話を」という主催者からのリクエストに答えて
「反物質を作るのがいかに大変か」ということから
「なぜそもそも宇宙に反物質は無いのか」という展開や
「超光速航行は可能か?」という問いかけから
「時間や多次元空間の話」というように
素粒子や宇宙の基本原理と空想科学の関係を話しました。

最後は「科学を身につけると SF はもっとおもしろい。」
で締めくくりましたが、
中学生の皆さんの反応はどうだったでしょうか?

そのうちアンケートの集計もできるので、
そうしたらまた報告します。
終わったあと ILC について質問に来た方もいました。
宣伝効果もあったようです。

ところで,、話のなかで
「ドラえもんのタケコプターはヘリコプターの原理では飛べない。
つまり、タケコプターは現代物理学を超越したもの。」
という説明をしたのです。

でも新聞紙上では「ドラえもんのタケコプターでは飛べない。」でした。
私の真意は「ドラえもんのタケコプターは現代物理学を超越したもの。」
なので、飛んで欲しいんです。

「飛べない」では夢がないですよね。

高橋 徹より

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2009年07月12日

先端加速器科学技術シンポジウム2009 in 広島

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皆様

一ヶ月のご無沙汰でした。
先月の仙台に引き続き、7月4日に先端科学技術シンポジウム
「宇宙の謎に挑む 日本の貢献」第2弾が広島で開催されました。
天満さんもいらしていましたね。

広島大学と先端加速器科学技術推進協議会の共同開催で
私は主催者という立場で参加しました。
会場は、広島市の平和公園内にある広島国際会議場。
約200名の方に来ていただくことができました。

仙台の時と同じように、
宇宙を見る、宇宙に行く、宇宙創生を創る
をテーマに4名の講師の方による講演と
パネルディスカッションという構成でした。

仙台の時は、講演時間が延びて、
パネルディスカッションの時間が短くなってしまったので
今回は講演者の方々にできるだけ時間内に終わって
もらいました。
そのおかげで、進行はほぼ計画通り。
パネルディスカッションも十分な時間がとれたと思います。

高校、一般の方を対象としたので
できるだけわかりやすい内容にするように心がけたのですが
ちょっと話が難しかったでしょうか。

会場の雰囲気がフォーマルな感じだったので
講演者の方もそれにつられて話が堅くなったのかもしれません。
私は、パネルディスカッションに参加しました。
できるだけ易しく話そうとしたのですが、
いざやってみると難しいですね。

天満さん、いかがでしたか

高橋 徹より

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2009年06月07日

宇宙の謎に挑む日本の貢献

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皆様

いきなり大上段に振りかぶったタイトルですが、
先端加速器科学技術推進シンポジウム in 仙台
「宇宙の謎に挑む日本の貢献」
が開催されました。
7月4日(土)に第2弾が広島で開催されることもあり
仙台まで 出かけてきました。

「とてもおもしろかった!」

今回は
宇宙を見る
宇宙に行く
宇宙を創る
をテーマとして、すばる望遠鏡、小惑星探査機"はやぶさ"
そして 国際リニアコライダーに焦点をあてた
加速器による素粒子実験を あわせたシンポジウムです。

まず、村山斉さん(東京大学数物連携機構)による基調講演のあと
すばる望遠鏡の話・・・有本信雄さん(国立天文台)
小惑星探査機"はやぶさ" ・・・岡田達明さん(宇宙航空研究開発機構)
と続き、最後にKEKの吉岡さんが高エネルギー加速器の話をしました。
講演の後は、多摩六都博物館館長(もとNHK解説委員)の高柳雄一さんを
モデレータに迎えたパネルディスカッションでした。
パネルディスカッションには山本さんも登場しましたね。
その話はご本人にお願いしましょう。

さて「おもしろかった」の中身です。
私たちは、日頃から素粒子物理学は 宇宙開闢の謎に挑む研究だ
と言っているのですが、
天文や宇宙探査分野と連携して宇宙の謎に迫る研究は
まだ 本格始動していないと言ってよいでしょう。

そんな状況ですので、 私も天文や惑星探査の話を聞く機会は
これまであまりありませんでしたし
"はやぶさ"の話に至っては全く初めて。
"はやぶさ"というのは、小惑星"イトカワ"まで飛んでいって
表面の岩石を 採取し、現在地球に帰ってくる途中なのです。
(ちなみに地球帰還は2010年6月の予定だそうです。)
その様子はまさに
「はやぶさの大冒険」というのにふさわしい
ワクワクドキドキの連続です。

仙台は、対象が企業関係の方だったこともあって
講演やパネルディスカッションも 少し堅い調子でした。
7月4日の広島は、高校・大学・一般の方を対象にしています。
話もすこし軟らかくお願いしようと思います。
パネルディスカッションのモデレータ は
仙台に引き続き高柳さんにお願いしますが
氏も高校生対象の方が得意だと おっしゃっています。
どんなシンポジウムになるか今から楽しみです。
多くの人に来てもらえるように、これからがんばって宣伝しようと思います。

ところで、今回複数の方からこの物理屋往復書簡を見ていると
声をかけられました。
同時に「最近更新が少なめですね」とも言われてしまいました。
読者に直接声をかけられると勇気づけられます。
できるだけ書いていきましょう。

高橋徹より

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2009年05月05日

放送大学の面接授業 その2

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さて、授業の様子です。
放送大学なので、学生さんといっても、
若い方から年配の方まで混じっています。
女性が多いのも普段大学で行っている授業とは、だいぶちがいます。
それに皆さん仕事を持ちながらとか、
退職されてからさらに勉強しようとされている方々ばかりです。

物理を専門としたことは無くても、
大変熱心な方ばかりでした。
私も時間が準備の少なかったとはいえ、
結構気合いをいれて臨みました。

85 分授業 1 日 4 回で 2 日間ずっとしゃべりっぱなしでは、
私も受講される学生さんももちません。

1 日目の午後は身の回りの放射線を測定する実習でした。
皆さん空気中や普段食べている食品、
珍しくもない石(御影石)から微量ですが、
放射がでていることを,簡単な測定器で目の当たりにして
かなり印象的だったようです。

残りの 6 回は素粒子や宇宙の話をしたり、
受講生の方の質問に答えたりでした。
問は口頭では出にくいので書いてもらったのです。
そうしたら、出るは出るは…。
授業の 1 回は,それに答えるのに費やしました。
アンケートをみると、それなりに満足された方が多かったようで
ホッとしています。

ところで,このような授業や講演をすると
必ず出る質問に
「ビッグバンの前はどうなっていたのですか?」
というのがあります。

正確に答えると
「ビッグバンの前にはインフレーションがあったと考えられています」
なのでしょうが、
ここでいう「ビッグバンの前」というのは
「宇宙が 137 億年前に生まれたというけと、その前は?」
という意味ですよね。

私はいつも答えに困って
「前があると思うのは、今私たちた使っている時間が
宇宙の始まりの頃でも同じように流れていると考えているからでしょう。
宇宙の始まりの頃は、時間や空間もと同じではないかもしれません。
つまり"始まり"ということ自体どういう意味なのか
分からなくなってしまうのです」
なんて答えています。

勉強不足が露呈していますね。
皆さん、どう答えればよいと思いますか?

高橋徹より

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2009年05月02日

放送大学の面接授業 その1

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皆様

4 月の 25 日と 26 日の二日間、
放送大学の面接授業を行ってきました。

放送大学の学生さんは、
普通はテレビやラジオを通じて授業を受けるのですが、
年に数回、面接授業(スクーリング)として
全国各地にある放送大学の学習センターなどで
授業を受けることになっているそうです。

今回私は、「宇宙創生の謎にせまる素粒子物理学」
という題目で授業を行いました。
2 日間で 85 分授業を 8 回という強行日程でした。
準備も時間がかかりましたが、
参加した学生さんも大変だったでしょうね。

授業を頼まれたのは昨年の夏でしたので、
準備には十分な時間があるはずだったのですが
そこはギリギリにならないとエンジンがかからない
いつもの悪い癖がでてしまいました。

実は、4 月 17 日(土)から 21 日(火)まで
つくば市でリニアコライダーの国際研究会が開催されていて
私もずっとそれに参加していました。
それが終わってからでも授業まで 3 日あるので何とかなるかな
と思っていたら、
22 日と 23 日にKEKで打ち合わせをすることになってしまい
結局広島に帰ってきたのは講義前日でした。

この日程が分かってからは,結構焦っていたのですが、
それでも 18 日には、研究会や同時開催のトークショウの参加者達と
夕食を食べたりしていましたね。
そんなこんなで、どうなることかと思っていたのですが
研究会の最中にも内職をしたりして、
どうにか授業には間に合いました。

高橋徹より

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2009年03月14日

オックスフォード便り

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皆様

イギリスのオックスフォードに来ています。
オックスフォード大学と言えば、
世界的に有名なイギリスの名門校です。
ILC の研究も盛んで、
今回はその打合せにやってきました。

街は、石造りの建物や教会が立ち並んで、歴史を感じます。
最近では、ハリーポッターのロケ地に使われたりしているので、
皆さんおなじみの風景かもしれません。
先日は、日曜ということで、街を歩いて回りました。
ハリーポッターのロケも行われた有名なカレッジは
観光客でいっぱいでした。

夕食は、こちらの友人が招待してくれました。
数人でどこかのレストランに行くのかと思っていたら、
カレッジの中のダイニングルーム。
学生がたくさん並んでいて、壇上に先生やゲストがいるという、
ハリーポッターの映画にたびたび登場するあれでした。

私たちはゲストということで、
一段(と言っても 10 cmくらいでしたが、)高い前の壇上でした。

主催者(なんと学長)が、
裁判官みたいに木槌で机たたくのを合図に
全員が立ち上がってお言葉を聞いて、食事の開始。
デザートが終わるとまた、木槌の合図で全員が起立した中を、
壇上の先生やゲスト(我々も!)が退場します。
とても興味深い体験でした。

こちらの大学で、このような伝統的スタイルのディナーを
たびたび開催しているとのことです。

イギリス人から、日本の大学には、似たような伝統はないのか?
と聞かれました。
学生と教員が一同に集まって懐石料理・・・?
思い当たらないですね。

日本の大学のシステムは、
明治初年にヨーロッパやアメリカから輸入されたのですが、
この伝統は入ってこなかったようです。
もしあったとしたら、どんな形になっていたのでしょうね。

高橋徹より

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2009年01月31日

出張とカバン

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皆様

さて、モバイル環境と並んで重要なのはカバンです。
出張時には、ノートパソコンとその周辺機器、
筆記用具等の仕事に必要なもの、
チケットやパスポート、身の回りのものを
要領よく詰め込まなくてはなりません。

そのためには、カバンがとても重要です。
空港のショップには、いろいろなカバンが置いてあります。
私も時間があれば眺めていますが、
多くの出張族の皆さんも同じようです。
最近はキャスター付きのカバンが流行っています。
私も四輪のキャスターバッグ
(PC、文房具などを入れるポケットがいろいろ付いたヤツです)
を使っています。

そうこうしているうちに、自宅にはスーツケースが二個、
大学のオフィスには出張カバンが二個、
それと普段使いのブリーフケースと、
カバンだらけになってきました。
こうなるともう趣味ですね。
今年になって、また一つ買ってしまいました。
家族があきれています。

高橋 徹より

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2009年01月14日

出張とモバイル

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皆様
ここのところ、海外出張が続いたという話をしました。
国内でも、KEKにはしょっちゅう行きます。
国内出張の場合は一泊、二泊という短期がほとんどです。

ところで,今日は物理から離れて
出張や旅行に関連する話をしてみましょう。
出張の多い会社員の方も同様のようですが、
出張をいかに便利に、楽にできるか、いつも工夫しています。

まずは、モバイル環境です。
出張中のメールとスケジュール管理をどうするかは
いつも悩んでいます。
メールはwebメールサービスを使っています。
これだとネットワーク環境さえあれば
世界中どこにいても、同じようにメールできるので便利です。

大学の研究グループ独自のドメインを使っています。
それと、移動中でも無線LANが使えるように
某プロバイダーのサービスを使っています。
これだと主な空港や駅などで無線LANが使えるので便利です。

スケジュール管理ですが、
私はずいぶん前からPDA(携帯情報端末)を持ち歩いていました。
電子手帳のようなものです。
大学のパソコンのスケジュールや電話帳ソフトとPDAを
シンクロ(内容を同期させることです)させていました。
これはとても便利なのですが、
携帯電話機能が無いことがネックでした。

海外ではスマートフォンという、
パソコンと電話が合体(というのは言い過ぎですが)したような
携帯がかなり以前からあったのですが、
日本では携帯電話が独自の発展をした影響で
なかなか発売されませんでした。

やっと数年前にスマートフォンがでたときには、
携帯電話会社を変えて、飛びつきました。
今では、携帯とパソコン、それとweb上のカレンダーを
シンクロさせています。
世の中便利になったものですね。

高橋徹より

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2009年01月01日

2009年 新年のごあいさつ

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皆様、明けましておめでとうございます。

昨年後半は景気の悪化で、
暗いニュースが多かったですが,
物理の世界は、南部さん、小林さん、益川さんの
ノーベル賞受賞という
うれしいニュースが飛び込んできました。

今年は、いよいよ LHC が本格的に稼働します。
どんな年になるのでしょうか?
明るい話題が多いとよいですね。

物理屋往復書簡も三年目です。
明るい!物理の話題の発信源となるように
努力したいと思います。

今年もよろしくお願いします。

高橋徹より

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2008年12月26日

世界との付き合い

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皆様

高エネルギー関係者は
海外の方との付き合いは多い方だと思いますが
それでも生まれ育った文化的環境の違いは、
大きいような気がします。
お互いに違いを認め合って、
付き合っていくことなのでしょう。

最近、あるアンケートで
「あなたにとっての未来の科学は?」
という設問があったのですが
(山本さんも同じアンケートに答えたのでは?)
直ぐに頭に浮かんだのは、
今よりももっともっと、世界中の人が集まって
共同研究しているという世界でした。

山本さんは海外が長かったですし、
岩田さんも海外の研究者とつきあった経験は豊富でしょう。
異文化とのつきあいということをどう感じるか、というのは
人によってもかなり違うような気がします。

日本人でもそんなことを
まったく気にしない人もいるでしょうね。
そんな人がうらやましいとちょっと思ったりします。

高橋 徹より

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2008年12月23日

近況報告

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皆様

ご無沙汰しています。
山本様、ノーベル賞講演会は盛況でなによりでした。
私も(これで 3 回目?)、
24 日に大学の男女共同参画推進室が開催する
第 2 回体験科学講座~女子高生特別コース~で話をします。
過去 2 回の経験から、対称性の話は難しいので
素粒子研究の雰囲気を話してみたいと思います。

先日 KEK に行ったら、
ちょうどストックホルムでの授賞式の報告会が
ありました。(メダルのチョコレート、ゲットしました)
日本でニュースを見ていると、厳かな雰囲気ですが
実際はその前後を合わせて、お祭り騒ぎのようですね。
女子高生コースの話はまた報告します。

ところで、10 月の後半から米(SLAC 研究所)、米(シカゴ)、
欧(パリ、ハンブルグ)、米(フェルミ研究所)と海外が続いて
その間も,東京や KEK に行くなど
ドタバタとした日々が続いていました。
なぜだか分からないのですが、
毎年年末にかけて忙しくなります。

それにしても 12 月中旬のフェルミは寒かったです。
最高気温零下 7 度くらい。
お昼前に車に乗ろうとしたら、ドアも凍り付いていて
無理矢理開けて、エンジンをかけて、
それから 30 分くらい
ガラスの氷がとけるのをじっと待っていました。
室内は暖かいのですが、
それでも冬はできるだけ避けたいですね。

これだけインターネットが普及しても
やはり Web やテレビ会議だけでは,
意志の疎通が十分にはできません。
やはり顔をつきあわせて話しをすることは、重要ですね。
今回は逆に、何度か海外から日本へつないで
Web 会議をしてしまいましたが…。

高橋徹より

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2008年11月05日

ノーベル物理学賞がわかる?!

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皆様

10 月 25 日(土)、ノーベル物理学賞がわかる?!
「対称性の破れと南部,小林・益川理論」と銘打って
今年度のノーベル物理学賞について解説する
広島大学理学部主催の講演会を行いました。

急遽企画したのですが、さすがノーベル賞効果です。
土曜日、それも主な対象は学部学生としたのに
一般の方(呉から来られた塾の先生と生徒さん)を含む
120 名超の方が来場されました。
(50 名来てくだされば良いかな、と思っていたのです。)

「自発的対称性の破れ」とか、「CP対称性の破れ」とか
なかなか解説するのは難しい話だったのですが
私を含む 3 名で解説に挑戦しました。
呉の方からは面白かったというメールもいただいたので
早速「物理屋往復書簡」を紹介しました。
また一人読者が増えたでしょうか。

準備段階では、新聞社からも問い合わせがあったのですが
今回は学部学生レベルということで
掲載は見送ったようです。
11 月 24 日は高校生一般向けに広島市内で開催します。
そのときまで熱が冷めていないように願っています。

高橋徹より

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2008年10月23日

物理屋往復書簡2周年

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皆様

ノーベル物理学賞のニュースが飛び込んできて
その話題が続きましたが
この 10 月で 「物理屋往復書簡」 も開始から 2 年になりました。

ILC 計画の応援サイトのコンテンツを考えていて、
私が天満さんに往復書簡形式の連続掲載を
お願いしたことがきっかけでした。

最初の頃の手紙をみると、
天満さんが私の突然のお願いにびっくりしている様子が伺えます。
すぐに岩田さんを巻き込んで
最近では山本さんも登場して…。
2 年と言うのは長いような、短いような…。
皆さんはどのように感じていますか。

この 2 年の間に、ILC を応援下さる方々は
少しずつですが着実に増えていると思います。

社会科見学に行こう! が開催している
「加速器の夜」も 5 回くらい開かれたでしょうか。
開催されるのは、たいてい日曜日の夜なのに
100 名近い方が集ります。

リニアコライダー普及委員会ILC 友の会など
ILC 計画応援サイトができています。
普及委員会の皆さんは
素粒子戦隊リニアコライダーというキャラクターも
作って下さいました。
私も、国際リニアコライダー@広島大学というサイトを作り始めています。

往復書簡も含めて ILC 応援ネットワークが
充実していけばよいですね。

実は、はじめたころは、
そんなに遠くない時機に終わりがくると思っていたのですが、
予想に反してまだまだ続きそうです。
ILC ができる日まで続くかな…?

高橋徹より

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2008年10月09日

<祝> ノーベル物理学賞

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皆さま

今年のノーベル物理学賞が、
南部陽一郎,益川敏英,小林誠の三氏に贈られました。
三方ともノーベル賞候補として長く名前の挙がっていた方で
喜ばしい限りです。

個人的にも出身大学にゆかりのある小林・益川両氏の受賞は
感慨深いものがあります。

明後日、学部の学生向けに、
素粒子実験の授業をする予定なのですが、
急遽このニュース関連の話を盛り込もうと思っています。
(しかし、自発的対称性の破れとか CP 非保存は、
分かりやすく話をするのがなかなか難しいです。)

岩田さんは KEK で小林さんと一緒に仕事をなさっていたことですし
山本さんも B ファクトリーの共同研究者、
また京都大学の OB としても
お話したいことがたくさんあるのではないでしょうか。

高橋 徹より

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2008年08月28日

8月24日(日)国際ガンダム学会準備会議

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皆さま

先日お話した「 国際ガンダム学会準備会議 」に行ってきました。
事務局によると、当初学会の設立シンポジウムを企画していたのですが
著作権者との関係で、今回は準備会議としたそうです。
近いうちに設立会議を開催したいとのことでした。

会議の参加者は、一般入場者を含む約 100 名。
報道関係者も結構来ていました。
設立発起人の方からの基調講演の後、言語学、医学、心理学の観点から
ガンダムワールド研究の可能性に関する講演がありました。

「 ガンダムワールドでは共通言語があるのか。
 あるとしたらどのようなものになるのか?」
「 医学はどうなっているのか?」
「 危機管理は?」

などなど、ガンダムを共通のモチーフとした学術研究の可能性について
講演がありました。
どれも大変興味深いものでした。

私は『 ガンダムと加速器と未来社会 』というタイトルで
話をしました。

「 ガンダムでは加速器が活躍している 」
「 ガンダムに描かれている未来社会を切り開く加速器科学 」
ということを、ILC を紹介しながら話し
「 ILC で構想されている数千人の科学者や技術者人が
 世界中から集まる国際研究都市は地球連邦のプロトタイプと考えられる。
 加速器科学とガンダム学会が協力して、盛り上げていこう。」
ということで締めくくりました。

既に web 等で報道されていますが、そのうちのいくつかでは、私が
「 ガンダムに登場するビームライフルやメガ粒子砲などは、
 決して荒唐無稽ではない。ガンダムに登場する科学でも、
 今の技術を応用すれば切り開ける部分もある 」
と言ったことになっています。
後半は良いのですが、ビームライフルやメガ粒子砲に関しては
このような言い方はしていません。
真意を正しく伝えるのは難しいものです。

講演のあと何人かの方が、話かけてきました。
みなさん私の想像以上に( と言ってはいけませんが )
全長 40 km の直線加速器計画に興味を持たれたようです。
これはうれしい誤算でした。

その後の懇親会も含めて、
かなり感触は良かったと思うのですが、それは今後のガンダム学会との
話の進み具合として表れてくると思います。
まだ始まったばかりですが、今後が楽しみです。

高橋徹より

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2008年08月23日

国際ガンダム学会準備会議

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皆さま

ここ数日少し涼しくなって来ましたが、今年の夏は暑かったですね。
夏バテと言うわけでは無いのですが、往復書簡も少しお休みでした。

ところで、「 国際ガンダム学会 」 が設立されることになり
その準備研究会が、明日広島で開催されます。
http://www.hiroshima-animation-biennale.jp/
先日設立された、先端加速器科学技術推進協議会の方から頼まれて
私がコンタクトしたのですが
準備会で話題を提供することになりました。

『 ガンダムと加速器と未来社会 』 というタイトルで話をしてきます。
学会は文化系の研究者が主体で、
未来都市について研究することが目的なのですが、
「 未来都市には加速器とその関連技術が広く使われている 」
との観点から、ガンダム学会と協議会の相互交流をやろうという趣旨です。

そもそもの発端は、協議会関係者の飲み会で
「 ガンダムには加速器がたくさん使われている 」 という話題で
盛り上がったことだそうです。( 私はその場には居合わせませんでしたが )

科学技術的観点からも、
ガンダムワールドと加速器科学は密接に関連していますが
ILC 研究所は世界中から何千人もの人が集まる街になります。
コロニーや地球連邦のプロトタイプと言えるかもしれませんね。

ガンダム学会と加速器科学協議会が上手く協調して
盛り上がるように話をしてきたいと思っています。

研究会の顛末はまた報告します。

高橋徹より

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2008年07月07日

英語と敬称

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山本様、皆様

山本さんが加わって、いきなり国際的な話題になりました。
それに有名人がたくさん登場しますね。

ところで、日本人では同級生のような
年齢も同じでごく親しい場合を除いて、
人の名前には “さん” などの敬称をつけます。
職業柄、私たちの周りでは“先生”も多いですね。
一方外国では、Mr. とか Dr. をつける方が珍しい。
私は 「 郷に入りては郷に従え 」ということで
外国人と話す時は、first name で呼び合うことが比較的多いです。

しかし、人によってはそうならさない方もいるようです。
ILC で活動している人達をみると、全く人それぞれです。
私はいい加減なので、その時々で適当にやっていますが。
山本さんは全く欧米流なのだと想像します。

最近は小学校でも英語の授業をやっていますが,私の娘の授業で,
“Good morning, Ms. 何々teacher”
とやっていると聞いたときは、目が点になりました。
これはどうにかしないといけないですが、
最近は モンスターペアレント が問題になっているし…。

日本でも敬称は気になります。
先ほども言いましたが “先生” は誰に対して付けるのでしょうか。
私が学生の時には、大学の教官を“さん”と呼んでいました。
広島に来たら、“先生” と呼ばれるようになりました。
これは、あまり気持ちよくない。

それに学生が大学の教員を “なんでも教えてくれる先生” と
考えているとしたら、それは良くないと思ったので
私たちの研究室では、あるときから “先生” は禁止、
“さん” にすることしました。今でもそれは続いています。

でも最近は教員同士で “先生” と呼ぶ機会が多くなりました。
これはいろいろな場面で意味合いが違うようです。
“さん” では少し慣れなれしいと思って “先生” と呼ぶこともあります。
でもその全く逆に “さん” だと他人行儀だし、
かといって呼び捨てにはできないので、
当たり障りのない “先生” をつけることもあります。

時々ある( いやよくある )のは、言いにくいことや、頼み事の時に
“先生お願いしますよ…”
と言う感じで使うこともあります。ああ~~難しい。

山本さんのワイバーグやグラショーとの交流の話から
いきなりこんな話になってしまいました。
ご了承ください、山本先生。

高橋徹より

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2008年06月11日

『神様のパズル』 その2

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映画の冒頭で、講義の場面がありました。講師曰く

「 今の宇宙で物質はたったの 4 %、残りの23 % はダークマター、
73 % はダークエネルギー。
ダークマターと、ダークエネルギーは正体不明、
つまり我々の宇宙の 96 % は正体不明なのだ。 」

これ、私( たぶん多くの物理屋 )が講義や講演で言っているのと
全く同じです。思わず苦笑いでした。

前半の部分で、宇宙の発展について討論する場面がありました。
その内容は、かなりよく作られていると感じました。
宇宙創生の瞬間(?)の話は無理があったのですが、
インフレーションから現在にいたるまで、よくできていました。

議論の内容も、現在の素粒子物理で解っていないことを
かなり的確に指摘しており、解ったふりをする大学院生と
問題点を的確に指摘する主人公という設定で
私も大変勉強になりました。
他の方がどう思われたか、興味のあるところです。

後半は、宇宙創生の方法を見いだした主人公の少女が
加速器を乗っ取ってそれを行おうとし、周りがそれを必死で阻止する
( 世界が消滅するかもしれないので )というサスペンスでした。

ただ、私には、そのサスペンス的な興奮が全く起こりませんでした。
映画を見ながら「 なぜか? 」と自問したのですが、
加速器をどのように運転しても何も起こらないと思って
見ているからですね。

映画の感想は次回として、とりあえず、印象でした。

高橋徹より

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2008年06月09日

『神様のパズル』 その1

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皆さま

『 神様のパズル 』を見てきました。
これから書くことには、映画の内容も含まれます。
まだ見ていない方は、ご注意ください。

大筋は、ある天才少女が宇宙を創成する方法を見いだして、
それを加速器を使って実現しようとするという話でした。
まず気がついたのは、場面設定とか言葉遣いでした。

映画では、大学生を "生徒" と読んでいました。
これは現実と違うな、、、という感じです。
私達は通常、中高生を生徒、大学生を学生と呼んで
明確に分けています。( ちなみに、小学校 ― 児童、幼稚園 - 園児 )
世間でも大学生を生徒と呼ぶのでしょうか、天満さんいかがですか。

さて KEK ですが、話の中の測定器として KEKB の測定器が
頻繁に登場します。
それに、測定器の横にある計測器室のことを
エレキハットと呼んでいました。
これは KEK を取材して知った言葉に違いありませんね。
この言葉が出てきたとき、思わず笑ってしまいました。

登場する加速器は「 むげん 」という名の新型加速器ですが、
背景にはスプリング 8 があったようです。
映画にたびたび登場した、実験室は放射光のビームラインでした。
かなり広いので、KEK - PF か、スプリング 8 だと思います。
私はどちらも入ったことがないので判別できませんでした。

高橋徹より

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2008年05月31日

ノボシビルスク便り

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皆様

ノボシビルスクに居ます。
心配していたモスクワでの乗り継ぎも、スムースにできました。
総勢 5 名で行ったのですが、誰の荷物にもトラブルはありませんでした。
( 私は今回トラブルをさけるため、機内持ち込みだけにしていました )

でも、モスクワ空港では、預ける荷物を
ビニールでぐるぐる巻きにしている人がたくさんいました。
ガイドブックに書いてある通りです。
空港の設備も思ったほど悪くないし、
治安も少しずつよくなっているのでしょうが
まだまだ荷物の被害は多いということなのでしょうね。

さて、研究会が始まりました。
今、 2 日目の朝です。
私は昨日一つ講演をしました。
明日、もう一回します。

今回は、イギリスやアメリカの予算状況の影響で、
参加者が少なくなってしまいました。
そのため各講演に割り当てられた話が、長くなっています。
私も昨日 45 分、明日また 30 分です。
準備が大変です…。

ところで現地の参加者は少ないのですが
多くの人が Web 会議システムで、それぞれの本拠地から参加しています。
今日は全部で 17 の講演があるのですが、
そのうちなんと12 が web 会議による遠隔地からの講演です。
こうなると、わざわざ 24 時間かけてロシアにやってきた我々の方が
特別になってしまいます。

ネット社会の一面が垣間見えているようで、
面白いといえば面白いですね。

高橋徹より

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2008年05月27日

ノボシビルスク

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皆様

今、モスクワ行きの飛行機の中です。
あと 2 時間でモスクワです。
そこからまた 4 時間くらいかけて、
ノボシビルスクというところへ行きます。

ナノビーム2008という国際研究会です。
3 年前に、京都で “ ナノビーム2005 ” という研究会が
あったのですが、今回はその続きです。

“ ナノビーム ”という言葉は、なじみが無いと思いますが
最近よく耳にする“ ナノテク ”ということばの“ ナノ ”
つまり1/10 億メートルと同じです。

リニアコライダーのビームは、電子と陽電子の衝突点で
数ナノメートルに絞るため、まさにナノビームです。
この技術開発についての議論が研究会の主題なのですが
リニアコライダーの最終収束系というよりも
ナノビームの方が、響きが良いですね。

ノボシビルスクには、「 ブドカー原子核物理学研究所 」という
ロシアでは有名な研究所があって、
リニアコライダーの開発研究も活発です。
私が 10 年以上連絡を取り合っている研究者で
昨年広島に来た方も、ここを本拠地にしています。

ノボシビルスクは、ロシアの真ん中くらいに位置しています。
日本からの直行便はないので、どこかを経由するしかありません。

最初は、北京経由を考えていました。
それだと、日本->北京が3時間くらい、
北京->ノボシビルスクが3時間くらいです。
でも、北京->ノボシビルスク間にうまいフライトがなく
結局モスクワ経由になったのでした。

私の場合,
広島―>成田―>モスクワ->ノボシビルスク
です。

成田->モスクワが 10 時間
モスクワで 5 時間待って、モスクワ->ノボシビルスクが 4 時間
方角的には一度モスクワまで行って、半分くらい戻ることになります。

広島を出てからノボシビルスクまで 24 時間です。
ガイドブックを見ると、モスクワ空港の乗り継ぎが分かりにくいとか
ロシア国内線では荷物が心配とか書かれています。
果たして無事に着くでしょうか…?

高橋徹より

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2008年04月14日

理論と実験 <その3>

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理論と実験の話に戻りましょう。
理論物理学者とは、
つまり自然を記述する物語を書く作家や編集者でしょうか。
ただし、使う言語は数学です。

自然を記述しようとしたのですが、言葉そのものが舌足らずで
うまくいかないこともあります。
その場合、言語そのものを創り出さなければなりません。
力学を創るときに、微分積分学ができました。
今でもこの方面の最先端は、
数学なのか物理なのか見分けがつきません。

実験物理学者は材料を創り出して作家に提供したり、
作家の書いたストーリーの真偽を
実際に試したりすることになります。

ある時は起業家、ある時は経営者、従業員、発明家、役者
……いろいろな人がいます。
もちろんどちらも,物語を完成させることが目標ですが
仕事の内容や性格、適性もかなり違うようです。

作家でも、事業に乗り出したり、政治家になったりする人もいますし
本を書くのは作家だけではありません。(私たちも書きました!)

作家でも、事業に乗り出したり、政治家になったりする人もいますし
ですが、それぞれの仕事があまりにも
専門的知識と労を要するようになってしまったので
いつしか理論と実験という区別ができてしまいました。

でも私は、本当は実験とか理論とか区別するのは
好きではありません。
方法が違うだけで目指すところは同じ。
自然を記述する物語を完成させたいのですから。

高橋徹より

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2008年04月10日

理論と実験 <その2>

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以前授業でこんな話をしたことがあります。

とてもおおざっぱな話なのですが、
“ 人間を解明すること ” を考えてみます。

対象                分野        表現方法(つまり上でいう言語)
人間の行動様式の解明   脳科学?     例えばMRIによる血流など
神経の活動          生物学/脳科学  神経電位など
神経細胞の動作原理     化学         化学反応式
分子や原子の成り立ち    物理         量子力学

こんな具合に、ちょっと強引ですが、
追求する対象が小さくなるほど、
使う言語が数学に近くなっていると考えられます。

( もっとも情報学とか統計学のように
化学のなかにも量子化学という分野もありますから
これは一つの見方です。
それに、脳の場合は、主体と客体が明確に分離できないので
話が複雑になります。それはそれで面白いのですが。)

ということで、物質の究極の成り立ちを表す方法が
高度な数学になるのは、自然な成り行きと考えることができます。

高橋徹より

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2008年04月06日

理論と実験 <その1>

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皆様

先月の 23 日から 26 日まで「 物理学会 」に行ってきました。
宿泊したホテルのネットワーク環境があまりよくなくて、
メールもままならない状況でした。
今回と前回の学会は素粒子実験領域の世話人ということで
プログラムを作ったり、会期中は全セッションで進行を見守ったりと
大忙しでした。
その話はまた別の機会に…。

さて、理論物理について、どのように返事しようかと考えていたのですが
そもそも理論物理とか、実験物理って何だろうと思い始めました。
そんなことを考えていたら、
「 そもそも物理って何だっけ? 」
などという、根本的なことを考え始めてしまいました。
またまたとりとめのない長い話になりそうなのですが、書いてみます。

物理学というのは結局、
「 自然現象はこのように起こっているのだよ 」
ということを記述するのが目的だと思います。

記憶が曖昧なのですが
「 物理学とは自然を記述することだ 」
と昔の高名な方が言っていたと思います。
よく自然を解明するという表現を使いますが
解明するというのは、記述するということだ、ということです。
( ここを間違えると、似非科学にひっかかります。 )

でも、この記述するとうのがクセ者です。
物理学で記述するというのは、誰が読んでも曖昧なく理解できるように
客観的に記述すると言う意味です。
そのためには、使う言語もそれに適したものである必要があります。
我々が持っている最も客観的な言語=数学です。
つまり物理学というのは,自然現象を数学で表したらどうなるか
ということが本質であると思います。

高橋徹より

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2008年03月11日

理科離れと英語教育

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皆様

これは、日本の英語教育と似た状況だと思っています。
中学校から高校まで 6 年間も英語を習っているのに
日本人は英語ができないと言われます。

私に言わせると、日本人の大半は英語を使えなくても
十分に幸せに行けていけることがその原因です。
日本が世界でも有数の豊かな国であるのは、やはり本当でしょう。

日本語は世界のごく一部でしか通じませんが、
それでも多くの人が、何不自由無く暮らして行けることは事実です。
たまに行く海外旅行や趣味のときだけに
英語が必要な人が多数だとしたら
日本人が英語をできなくても当然ではないでしょうか。

私の場合も、受験英語だけでは、ほとんど何もできませんでした。
英文を読んで中身を理解するということが、少し理解できたのは
英語のテキストの論文を読まなければならなくなってから。

英語でコミュニケーションができるようになったのは
アメリカに行ってからでした。すべて必要に迫られてからです。

もちろん、だからお手上げ、ですませて良いということでは
ないと思います。
将来のことを考えると、
今の暮らしを支えて、かつ発展させるためには
理科の知識が必要な人は、増えざるを得ないのではないでしょうか。

それに否応なし地球は小さくなっています。
英語で外国の人とコミュニケーションをしなければならない人も
増えざるを得ないでしょうね。
( ある人によると、これは外国文化に適応するということなので,
日本人として幸せなことかどうかは、“?”だそうです。 )

> でも最近は、入試科目の適正化が意識されてきたようですね。それに、
> 大学が科学を社会に伝えようと努力しているようです。
> マスコミの努力も目につきます。全国紙、地方紙ともに、
> 科学欄がずっと充実してきています
> 漢方薬のようにじわっと効いてくるでしょう。

大学がどのようにしていけばよいか、解答は直ぐには出ないし
また最良の解がひとつということはないと思います。
「 漢方薬のようにじわっと効く 」という岩田さんのお考えに全く同感です。
理科も英語も“ これからの教育は漢方薬 ”かな?

高橋 徹より

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2008年03月04日

Re:理科から科学へ

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岩田様

私がこの話題について話し( 書き )始めると
まとまりのない話を延々と続けてしまいそうです。
( 一応現役の大学教員ですので )
そうならないように,岩田さんのメッセージの一部分について
返事をしてみようと思います。

> 理科から離れても生きていきやすくなったからでしょうか? 

この側面は大きいと思っています。
一言でいうと、世の中が非常に
多様化しているということではないでしょうか。

昔よりはるかに、いろいろなものがあります。
テレビゲーム、インターネット等々。
( 否定的な意味ではありません。私はこのようなものが大好きです。
今日もこれから娘とWiiで勝負です。 )
インターネットとかテレビーゲームは高度な情報機器ですので
これを作り上げるためには、高度な理系の知識が
必要なことは言うまでもありません。

でもできてしまったものは、小学校 1 年生の私の娘でも、
何の支障もなく使うことができるのです。
これもポイントでしょうね。

結局、世の中が多様化して人々の興味が分散した。
高度な技術によって、逆に理科の知識が必要ない場面が増えた
ということが理科離れの一因でないか、と思っています。
ひとことで言うと、生きていくため理科なんか必要無い
ということでしょう。

高橋 徹より

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2008年02月22日

試験シーズンです

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皆様

大学では,卒業論文と修士論文が終わって
一息ついているところです。
( 物理関連の学科で卒業論文提出を、という正式なスタイルを
採用しているところは少数です。
広島大学は少ないうちのひとつです。 )

でも、受験生はこれからが本番ですね。
多くの国立大学は 2 月 25 日が前期試験です。
毎日寒い日がつづいています。
受験生の皆さんが体調を崩さないことを祈っています。

ちなみに広島大学のある、東広島市の 2 月 19 日 の
最低気温は氷点下 6.8 度でした。
ここは標高 250m の盆地なので、とても寒いのです。

毎年この時期になると、受験の競争率が話題になります。
受験生の皆さんにとっては,競争率は低い方が良いのでしょうが
大学の教員側にとっては,これは人気のバロメータです。
競争率が高いということは、
多くの高校生が物理に興味をもっているということです。

( 我々にとって )身近な問題は、
優秀な学生にたくさん来てもらう ということです.、
が、長い目でみると、次世代の科学の担い手ということになります。
先日もある会合で、どうやって若い世代に物理( 学科 )の魅力を
アピールしていくか、ということが話題になりました。
広報活動の重要性は皆認識しているのですが
労力も予算もかかるので、具体的な行動はなかなか難しいのですが
大学も教育や研究と同じくらい広報活動を重視する時代が
来たのでしょうか。

そういう意味で,この HP や往復書簡は、時流に乗っているのかも
しれません。この往復書簡を読んで下さった方が、
少しでも物理( もっと広く科学 )に興味をもってくれると良いですね。

高橋 徹より

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2008年02月07日

Re:『筑波の恋』

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天満様

出張でパリに向かう飛行機の中です。
広島から成田経由で、成田から 12 時間 30 分のフライトです。
あと 3 時間半。さすがにヨーロッパは遠いです。
普通はメールやテレビ会議で打ち合わせを行っていますが、
年に数回は、顔を合わせて話をします。

テレビ会議がいくら便利でも、
やっぱり実際に会うことは、重要なようです。
こればかりは避けられないのでしょうか。

それとも、テレビ会議でも本当の会議室で会っているような
バーチャルリアリティーの世界を作れば
会わなくてもよくなるのでしょうか。
リニアコライダーも、セカンドライフの中に作って実験を始めますか?
回数が減っても、やっぱり面と向かって会うのは必要でしょうね。

ところで、初デートで「 マックスウェルの悪魔の話 」をしてしまう話、
似たような話は本当にありそうですね。
( ところで「 マックスウェルの悪魔の話 」は、
また別の機会にしましょうか。
「 情報と統計物理 」みたいな話を昔かじったので、、、 
おっと、いきなりこんな話をしてしまうところをみると、
私も初デートで物理の話をする素養はあるようです。 )

横道にそれてしまいました。
私はどちらかというと、物理以外の一般の人と話すときに、
千田くんのような感じになるのを避けるようにしています。
物理屋であるのを隠すという意味ではありませんが、
あまり自分の世界に熱中して、
相手が引いてしまわないように考えています。

でも最近は、研究者が熱く語ることも、パブリックアウトリーチの
重要な側面であると考えるようになってきました。
あまり自分の世界に入り込んでもいけなし、
熱意を伝えることも大切だし。
バランスが難しいですね。

高橋 徹より

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2008年01月17日

Re:続 「ガリレオ」

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ところで、皆さんは考え事をしたり、考えをまとめたりするときは
どうしていますか?
湯川学のように数式を書きまくる人は、少ないでしょうね。

自分のことを考えてみました。
私が大学のオフィスにいるときに、やっていることを大きく分けると、

1)パソコンに向かって何か書いている。
2)パソコンの画面を見ている。
3)紙に向かって何か書いている
(紙に文章は書かないので、たいてい計算しています)
4)机に脚を上げ、椅子にふんぞり返って目をつぶっている

なんてことになるでしょう。

私を訪ねて来る人の様子を見ると、
1) や2)の、PC に向かって何かやっている時が
一番声をかけ辛いように見受けられます。
4)は居眠りしているとしか思えないので
気軽に声をかけることができるようです。

実際「 おくつろぎのところ、済みません 」と言って
入ってこられた方もいました。
( 私の部屋のドアは、いつも開けてあるので、
外からどうしているのか分かります。 )

実際はどうでしょうか。
1)-4)と大雑把に言っても、そのときにやっていることは、
いつも違うのですが……。
声をかけられたりして中断されると困るのは
4)であることが多いです。

結構真剣に、考え事をしている時があるのです。
(本当に居眠りしている時もあるので、いつもそうではありません)
PC に向かって文章を書いているときは、確かに文章を考えていますが、
中断することは、それほど困難ではありません。
つまり声をかけられたりして中断されると影響を受けるのは
4)、3)、2)、1)の順番なのです。
見かけとは逆です。

同じようなことが他にも。
ソファに座ってテレビをボーッと見ているのですが、
頭の中は全く別のことを考えているとか、、、これを運転中にやると
ちょっと危ない。
道を間違えるくらいならいいですけど。
気を付けなければいけませんね。

みなさんはどうですか?

高橋徹より

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2008年01月13日

Re:ガリレオ

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皆様

あけましておめでとうござまいます。
本年もよろしくお願いします。

「 ガリレオ 」は結構人気があったようです。
火曜日の授業のとき、「 昨日のガリレオ見た? 」という話し声が
学生の間から聞こえてきました。
私は数回見たのですが、残念ながら最終回を見逃してしまいました。

番組を見ていて、まず面白いと思ったのは、
福山雅治演じる湯川学の、居室兼実験室のような部屋でした。
実験室と居室は分かれているのが普通でしょうか?
特に物理ではそうですね。
化学の場合、実験道具に囲まれた中に、
学生が机を並べているところが結構見受けられますが。
その他にも、あの部屋の黒板に書いている数式は、毎回楽しみでした。

私には、何の式か分からないこともよくありました。
湯川先生の専門は、何なのでしょうか?
素粒子物理ではないようです。

数式といえば、ずいぶん前になりますが、
テレビCMで 100 人以上の学生が聞いている大講義室での講義の場面が
使われていました。
そこで講師役が黒板に書いている内容が
なんと大学院でやるような量子電磁気学でした。
普通は多くても 10 名とか 20 名が相手です。
大講義室でこれをやる大学はないだろうな、、、なんて思いながら
見ていました。

さて、話が「 ガリレオ 」に戻ります。
いつもドラマのクライマックスで、湯川学が数式を書きなぐりながら
事件の謎を解き明かす場面がありました。
どこかで読んだ雑誌には、あれは計算することが重要なのではなくて、
湯川学が考えをまとめる時の癖という設定だ、と書いてありました。
まあ、実際問題として、共鳴の問題を解くのに
F = ma から始めてどうなるものでもないので、( たまたま見た回がそうでした )
設定は妥当でしょう。

高橋徹より

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2007年12月28日

研究会報告

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皆様

最近はあまり小説を読まなくなりました。
昔は良く読んでいたし、アメリカにいた頃は、
紀伊国屋へ行って日本の倍近い値段で
買っていたように記憶しています。
余裕が無い生活を送っているのでしょうか、、、

そういえば KEK で岩田さんの部屋を訪ねた時に、
机の上にペーパーバックが置いてあったのを覚えています。

ところで先週( 12 月 12-14 日 )広島大で研究会を開きました。
リニアコライダーから少し範囲を広げて、
この手の研究会では
あまり顔を合わさない方々にも来てもらって、話を聞きました。

私は、主催者側で
裏方の仕事で走り回っていたため、
せっかく来てもらった方と話をする時間があまりなかったのですが、
他の皆さんは活発に議論をしていように見受けられました。

広島まで来ることができなかった数名の人には、
WebEX という遠隔会議システムを使って、講演をしてもらいました。
時差があるので、日米欧同時参加というのは無理でしたが、
アメリカからは日本時間の朝、
ヨーロッパからは夕方に時間を配分して
何とかうまくいきました。

この種の研究会につきもののバンケットは、市内の酒蔵で、
西条名物の “美酒鍋(びしょなべ)” にしました。

酒造所の見学もついていたのですが、
好奇心の塊のような物理屋の集まりですので、
質問がとぎれず、予定を大幅に超えた時間がかかりました。
鍋料理ということで少し心配していたのですが、
外国からの参加者にも楽しんでもらえたようです。

研究会の翌日は、外国からのお客さんと宮島へ行ってきました。
ヨーロッパからの方でしたが、
内部が外界と全く別世界として造ってあるキリスト教の教会と
周りの自然と一体となった厳島神社の違いが
非常に興味深いとのことでした。

研究会の翌週は KEK 出張( 前の週も KEK でした )、
来週あと1日、日帰りで東京です。
学会の世話人もやっているので
10 月~ 11 月ころは、12 月のスケジュールを乗り切れるかどうか
我ながら心配していのですが、なんとか山は越えたようです。
年末年始はゆっくりできそうだと、ホッとしています。

高橋徹より

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2007年12月02日

Re:北京雑感

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岩田様

私が北京に初めて行ったのは 10 年ほど前、
精華大学でリニアコライダ-の会合があった時でした。

北京空港からの行き帰りの車では、
岩田さんと同乗したと記憶しています。
すごい渋滞の中を、クラクションを鳴らしながら進んで行きました。

岩田さんが「 彼らはクラクションで会話をしているんだ。 」
と言っていたのが、印象に残っています。
10 年後の今回は会話する程では無くなっていましたが、
それでも日本に比べると大変な騒々しさです。

会議の間中、町はどんよりと霞んでいました。
原因はスモッグのようです。
まだ本格的な冬ではなかったのですが、
今は車の排気ガスで霞んでいます。

3 日間の会期中はホテルから歩いていたのですが、
この空気の中を、毎日は続けられない、と思っていました。
やはり人口が多いというのはすごいことですね。

高橋徹 より

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2007年11月17日

「加速器の夜」でお会いしましょう

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皆様

ところで…。

明日、18日の「加速器の夜」には、顔を出すことにしました。
運良く?別の用もあったので決断しました。
前回は夜の 11 時まで盛り上がっていました。
今度は、どんな会になるのでしょうか?

岩田さんの記事が載った「 山梨日日新聞 」のコピーを
持って行くことにしましょう。

帰ってきたら報告します。

高橋 徹より

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2007年11月15日

久しぶりの北京

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皆様

加速器の夜は、「 行ってみようかな 」と考えているのですが、
スケジュール等の関係でまだ決断していません。
もし行ったら報告します。

ところで、リニアコライダーの研究会で、
北京に行ってきました。
北京郊外の「 中国科学院高能物理研究所 」というところです。
( 漢字でかけるので良いですね。 )
北京は、2004 年のリニアコライダーの技術選択、
今年の 2 月の基準設計など、たった数年の ILC の歴史の中で
2 回も重要な発表があった、因縁?の地です。

研究会は 3 日間。
アジアの ILC 研究を盛り上げるための会合という感じでした。
私は研究所から歩いて 20 分程のホテルに泊まり、
毎日歩いて通いました。

10 年ぶりの北京だったのですが、空港は新しくなっていました。
米国が本拠地の有名コーヒー店があるし、地下鉄はできている。
研究所近くの道路も拡幅工事の真っ最中で、
来年のオリンピックにむけて、急ピッチで開発が進んでいました。

10 年前とは別世界の近代都市という雰囲気もあります。
でも研究所の近くの大通りでは、
交通ルールがあるのか無いのか分からないような
交通渋滞とクラクションの嵐…。
人と自転車の多さは、昔と変わらないな、、、と感じていました。

ところが、研究会が終わった後、
地下鉄で北京の中心街に行ってみたら、びっくり!
研究所から地下鉄一本で 10 kmほどしか離れていないのですが、
警察官が交差点で交通整理をして、車が整然と走っているのです。

オリンピックに向けて、国を挙げて準備しているということを
実感しました。
後 1 年で、これが中心街からどのくらい広がっていくのか
楽しみでもあり、古い北京が無くなっていくのが残念な感じもします。

高橋 徹より

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2007年11月01日

見学ナイト 6  加速器の夜

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皆様

以前「社会科見学に行こう」
http://kengaku.org/
という団体を紹介しましたが、
11月18日に、「見学ナイト 6  加速器の夜」
が開催されるそうです。
なんと 16 時から 22 時まで 6 時間にわたり
加速器や素粒子物理について
飲んで話をする会です。

私は今のところ行く予定はないのですが
楽しい会になりそうです。
前にも言いましたが、日曜日の昼から深夜まで
加速器の話を聴きに多くの人が集まるなんて
すごいですね。

それから,この団体の web で私たちの本や
物理屋往復書簡紹介してくれています。
参加された方から感想などを聞けると面白いですね。

参加できるとタイムリーなんですけど、、、
岩田さんいかがですか?

高橋徹より

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2007年10月18日

祝出版 「ビッグバンをつくりだせ」

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皆様

3人で書いた本、「 ビッグバンをつくりだせ 新型加速器
リニアコライダーが宇宙誕生の瞬間に迫る 」( プレアデス出版 )が
今月ようやく出版されました。

この本を書くことになったきっかけは、この往復書簡でしたね。
本の “ あとがき ” にも書いたのですが、そもそもの発端は、
天満さんが「 ILCについて解説したものを紹介してほしい 」
と言われたことでした。

適当なものがなく、唯一浮かぶのは岩田さんが書かれた
「 リニアコライダー 素粒子の謎に挑む最強の加速器 」ですが
ちょっと高価で、内容も専門的でした。
そんな話をしているうちに
「 それなら自分たちで書いてしまおう 」
という話になったのでした。

「 私が一人で書くのは大変だ、岩田さんにもお願いしよう 」
「 専門外の方が対象なので、天満さんにも著者として入ってもらおう 」
ということで、とにかく執筆を始めました。
書き始めたのが、昨年( 2006年 )の春頃でしたから
1年半かかったことになります。

その間いろいろありましたが、それは後にして、、、
そもそもこの本の目的
「 天満さんのような “ 素粒子・宇宙大好きな一般の方 ” に
ILCを分かりやすく紹介する 」
ことは、どのくらい達成できたのでしょう?
天満さんに聞きたいところですが、
天満さんは、もう普通の素粒子・宇宙ファンの域ではないでしょうか?!?!

高橋徹より

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2007年10月03日

物理屋往復書簡 一周年記念

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皆様

物理屋往復書簡が始まって、今日でちょうど1年になります。
なんとかとぎれずに続いてきましたね。

この1年、どんなことを話してきたのだろう?
と思って、以前のページを見ようと思ったのですが
思いの外、量が貯まっていて
全部読み返すのはやめにしました。

でも最近は、日常の出来事やニュース等を元にした話題が
多くなってきているような気がしています。
まあ、いつもILCや素粒子物理の話ばかりしていても
息切れしそうですけど。

でも、せっかくの “ 物理屋往復書簡 ” です。
これからも楽しい物理の話題を続けていきましょう。

高橋徹より

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2007年09月19日

Re:防災の日

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天満様

私も芸予地震は良く覚えています。
大学にいたのですが、パソコンのディスプレイが
机の上でカタカタと揺れていました。
直ぐに自宅に電話して、何事もなかったことを確認してから
帰宅しました。
電話が混み合うよりも一瞬早かったようです。
あと数分遅れたら、電話は使えなかったでしょう。

私が体験した最も大きな地震は、1989 年 10 月のサンフランシスコ地震です。
ロマプリータ地震( Loma Prieta Earthquake、ちなみに外国人には
ロマ プリエータ < エにアクセント> と言わないと通じません )
という名がついています。

スタンフォード線形加速器センター( SLAC )に着任した直後で、
アパートを探すために車で走っていました。
大きな揺れを感じたので、パンクしたのかと思って直ぐに止まったのですが、
揺れが収まりません。
それで地震だと気がつきました。

まだ生活にも英語にも慣れていなかったので、どの程度の地震かよくわからず
24 時間近く経った後アメリカで放送された前日のNHKニュースを見て、
やっと理解できたと記憶しています。

SLAC の建物も加速器も耐震構造だったため、
被害はほとんどありませんでした。
( スタンフォード大学では,石作りの建物に被害がでて
完全復帰に数年かかりました。 )
でも、SLC( SLACの 3 kmの線形加速器 )の一部は
小さな断層にかかっていて、そこは 1 cm くらいずれたそうです。
ILC は事前に精密な地質調査も行いますし、
揺れても直ぐに再調整できるように設計されます。

高橋徹より

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2007年09月08日

LHC@HOME

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皆様 

前回 SETI@HOME の話をしました。
私も数年前やっていたのですが
久しぶりにこの HP を覗いてみました。

世の発展はすごいですね。
SETI だけでなく、とてもたくさんのプロジェクトが
ネットを通してパソコンで動くようになっていました。
BONIC という分散コンピューティングの枠組みが
開発されているそうです。

みたところ,バイオ系のシミュレーションが多かったのですが,
その中に LHC@HOME というのを見つけました。
LHC加速器の中を走る陽子の軌道を計算するんだって。

前回
『 Search for New Particles at HOME の時代もくるのかな、、、 』
なんて書きましたが。
「 くるのかな、、、 」という時代ではないようです。

高橋徹より

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2007年09月04日

B - Lab

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でも,新しい試みも始まっています。
B - Labというのは聞いたことがありますか?
KEK で行われている B ファクトリー実験の
データの一部を公開して
外部の方に、素粒子の探索をしてもらおうというものです。

主な対象は、高校生ということです。
私も大学 2 年生の諸君にこれに挑戦してもらっていす。
まだ始めたばかりですが,とても良くできたプログラムで,
高校生でも少し勉強すれば、新粒子探索ができそうです。
これは教育的な要素が強いですが、それでも面白い試みですね。

そういえば,天文の世界では、SETI@HOME
( Search for Extraterrestrial - Intelligence at HOME、
お家で探す地球外知性? )
というのがあります。

プエルトリコのアレシボ電波天文台で、
宇宙から来た電波を受信して、その中に
知的生命が送信したような信号がないか、探しているのですが
そのデータ解析には、とってもたくさんの計算が必要なのです。

で、どうしたかというと、
パソコン上で動く解析プログラムを web 上で公開して
これを一般の人のパソコンにインストールしてもらうように
したのです。

このプログラムは、スクリーンセーバーとして動くように
なっています。
つまり、パソコンのスイッチを入れておけば、
使っていない時には、かってに宇宙人探索をやるんです。

データは SETI 本部からインターネットで自動的に取得し
解析結果も自動的に送り返すようになっています。
面白いですね。
私も以前やっていたことがあります。
( 飽きてしまったので、今は止めていますが 、)

Search for New Particles at HOME の時代もくるのかな、、、

話がそれてしまいました。

高橋徹より

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2007年08月31日

Re:Re: ブライアン・メイ氏と天文学

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天満様

返事ありがとうございます。
ブライアン・メイ氏は宇宙に関する著書もあるのですね。
そういう意味では、私が前のメールで言った
基礎訓練にあたる部分は、
若い頃十分に行った方なのでしょう。

それにしても、研究の世界から長い間離れていた人が、
博士論文を書くというのは
素粒子実験分野では聞いたことがありません。

天満さんの言われるように、web に代表される
インターネットの発達によって、
世界中の人が情報を共有できるようになりました。
( そもそも、そのために、素粒子実験屋が web を作ったのでした。。。 )

ですが、だからと言って、
素粒子実験でブライアン・メイ氏のような例が出るには
まだハードルがあるのではないかと思います。

素粒子実験では、実験データはその実験を行った
実験グループのものです。
データそのものが、公開されることはありません。
公開されるのは、データを解析してでてきた物理の結果です。
実験で取ったデータそのものを
外部に公開することは、普通ありません。

実験データの処理するためには
実験装置や加速器のことを良く理解しておく必要があるので、
外部の人がこれを行うのは非常に困難ですし、
思わぬ間違いをする危険性があります。

高橋徹より

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2007年08月19日

ブライアン・メイと天文学

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皆様

朝日新聞にクイーンのギタリスト、ブライアン・メイ氏が
天文学の博士論文をロンドンのインペリアル・カレッジに
提出したという記事が載っていました。
http://www.asahi.com/science/update/0804/TKY200708040210.html

私達の年代(かなり幅広い年代にわたると思いますが)には、
クイーンという名前になにか特別なものを感じる人も
多いのではないでしょうか。

そのメンバーが、博士論文を書くほど天文学を指向していたなんて、、、
ブライアン・メイ氏の努力と才能には驚くばかりですが、
別のことが頭に浮かびました。

素粒子実験の世界では、すべてのプロジェクトは
多くの人による共同研究で、研究者それぞれが
何らかの形で、研究に寄与することが共同研究の条件です。

その中で、博士候補は研究の原動力という位置づけが
一般的です。
彼/彼女らが昼夜を問わず努力して実験を支え、
そのデータで博士論文を書く、というのが通常です。
これには若いというのが必須の条件ですね。
自分のことを考えても、あの当時の体力はもうありません。

今、大学院にも社会人入学枠というのがあるのですが、
私はこれは別の分野の話だと考えていました。

社会人の方が、若い大学院生と同じように
研究の原動力となるのは無理なのはもちろんです。
でも、これに関しては、別のやり方で研究に寄与して
成果を上げることも可能だと思います。
(パブリックアウトリーチをやれば、大きな寄与ですよね)

しかし、ある程度年齢を重ねた人が、
大学院レベルの素粒子物理学
(物理学の理論もあれば、測定器に関する技術や物理もあります)を
基礎から学びことができるだろうか、というのが疑問です。

以前、脳の話のところでも出ましたが、
勉強も基礎訓練が重要です。
特に物理や数学といった分野で重要ですが、
これは若い脳であればあるほどうまくいきます。
この意味で、大学院の社会人入学は、
素粒子実験には合わないと考えていました。

今回、天文学というお隣の分野で、
長い間音楽をやってた方が博士論文を書いたと聞いて、
一体どうやったのだろう、
私達の分野でも、こんなことが可能なのだろうか。
可能だとしたら、その可能性を開拓するべきなのではないだろうか。

などということを考えました。

どう思いますか?

高橋徹より

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2007年08月14日

「加速器の夜」

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KEKの藤本順平さん(「 加速器の夜 」に私を呼んでいただいた方)
から返事をいただきました。ご本人の承諾のもとに掲載します。

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高橋様

高エネの藤本です。
先日は、新宿でありがとうございました。
主催者側発表によりますと、来場者は過去最高
( といっても 3 回目ですが )の 87 名。
ジワジワと「 加速器の夜 」の認知度もあがっているのかな、
という感想をもちました。
第一部の高橋さんの放射線の話が
面白かったというアンケートの結果もいただいています。

私たちは、加速器を使うのが商売なので、
ともすれば普通の機械と思ってしまうのですが、
こういったところで話させていただくと、
いかに加速器が知られていないかが分かります。

加速器というと、「 サイボーグ009 の加速装置? 」
と聞かれることがあります。
( 若い人はサイボーグ009をご存知ないかも、、、 )
また、地下の巨大トンネルに何キロにもわたって装置が置かれており、
それで宇宙の始まりを再現して研究しているのだということに
目をまん丸くされます。

実は先日の日曜日( 8 月 5 日 )に
「 見学ナイト 3  おさらい KEK 見学会」ということで、
新宿に来ていただいた方に、実際に加速器を見ていただく会を催しました。
例により、大森さんにお手伝いをお願いして、
B ファクトリーの線形入射器、ATF、STF、陽子前段加速器を見学し、
最後に皆さんに霧箱を手作りしていただきました。
総勢 40 名の大所帯でした。

見学会の最後にいろいろな加速器関連サイトを紹介しました。
KEK はもちろん、やはり CERN は欠かせないということでCERN。
特に「 天使と悪魔 」に関連した質疑応答のページには
皆さん大笑いでした。
また、この「 物理屋往復書簡 」も紹介させていただきました。

「 社会科見学に行こう 」の会員には、
ネットを自在に使われている方々や、
メディア関係者がおられます。

現在あるファミコン( ちょっと古い表現? )上で
「 社会科見学に行こうゲーム 」が企画されており、
その中の見学場所のひとつとして
KEK が登場するともお聞きしました。
詳細がわかりましたら、またご連絡いたします。

まったく別件ですが、「 神様のパズル 」(機本伸治著 角川春樹事務所)
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=1038は
やはり映画化が進んでいるという情報ももらいました。
あの話は、 ILC から日本は離脱して
独自路線を行くというシナリオなのですが、
「 加速器 」の存在を皆さんに知っていただく
よいチャンスになると思い、期待しています。

藤本順平より

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2007年08月09日

講演が続きました

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皆様

ちょっと古い話ですが、 6 月 30 日、 7 月 1 日と二日続けて
一般の人向けに、講演と実演をしました。

30 日は、広島市こども文化科学館でやっている
湯川・朝永生誕 100 年記念展の催しでした。
身の回りの 「 放射線を見てみよう 」 ということで、霧箱を使って
空気中のラドンの飛跡を見たりしました。
霧箱の話は、小柴先生の講演会のときにしましたよね。
今回は、うまくいきました。

全2 回講演だったのですが、2 回目は、天満さんにも来ていただきました。
実はその 2 回目には、私の家族もいたのです。
家族がいると、とてもやりにくい。
いつもとちょっと調子が違っていたのですが、分かりましたか?

7 月 1 日は、新宿歌舞伎町のパブ( ? のようなところ )で
飲みながら加速器や物理の話をするという、不思議な会でした。

「 社会科見学に行こう 」
http://kengaku.org/

という団体があって、
積極的に、いろいろなところを見学しているそうなのですが、
KEK も “ お気に入り ” のひとつ、ということです。
今回はその夜の部、 “ 見学ナイトvol5 加速器の夜 ~第三夜 ”

日曜日の夜というのに、何十人もの参加者が集まって、
前の壇上に主催者の方々……
そこに大森さん、山下さん、藤本さん、加藤さん( 工学院大の方です )、
私が並んで座って、飲んだり食べたりしながら話をするのです。
いきなり、「 物理屋往復書簡 」 の高橋さんなんて紹介されて、びっくり!!!

うまく話をしたのかどうかわかりませんが、
さりげなく?私達の本と、天満さんの最新刊を宣伝しておきました。

それにしても、日曜日の夜というのに、遅くまで
何十人の人たちが、加速器とか素粒子の話で盛り上がるなんて、、、
「 素粒子も捨てたものではない? 」と思いました。

高橋徹より

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2007年07月18日

Re:Re: 続湯川・朝永展(中間子論の頃)

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皆様 

自己レスです。

前のメールに書いたことで、
朝永さんの書簡の「仙台」は1933年4月の日本数理物理学会なのか
ということが気になりました。

Webで検索すると,湯川秀樹を研究する市民の会
http://www.geocities.jp/sci_museum_saito/
というみなさんが、かなり湯川さんのことを調べていることが
分かったので、いきなりなのですが、その方々に
メールを書いて問い合わせてみました。

そしたら,丁寧なお返事をいただいただけでなく、
彼らの間で議論をしてくれて、webに
まとめて下さいました。

http://wiki.yukawa100.org/index.php?%C3%E6%B4%D6%BB%D2%CF%C0%A4%CE%CB%A8%B2%EA%A1%A21933%C7%AF%BD%D5%A4%CE%B3%D8%B2%F1

やはり
朝永書簡の「仙台」は、1933年4月の
日本数理物理学会のことのようです。

この学会では
中性子と陽子の散乱のポテンシャルの形がでている。
「けったいな粒子」という表現で
核力を担う粒子という話がでている。
などなど,まさに中間子論前夜
(今の目からみればすでに夜明け )です。

それにしても、
当時の核力に関する世界の素粒子物理学者の状況は、
非常に興味深いものがあります。
ここから中間子論の論文まで
1 年以上かかっているのですから。

高橋徹より

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2007年07月17日

Re:Re: 湯川・朝永展(中間子論の頃)

line

皆様

湯川・朝永展にある朝永さんから湯川さんへの書簡ですが
もう少し調べてみました。

朝永書簡の中にあるポテンシャルなのですが、正確には
「Ae(-λr)/r としたのは仙台でやりました」
と書いています。

この「仙台」は、1933 年 4 月の
東北大学の日本数理物理学会のこと
を指していると思われます。
この学会には湯川さんも出席し、
彼の初めて学会講演を行っています。

「仙台でやりました」というのは、
朝永さんが彼がこれに関する講演を
学会で行ったということのようです。
そうすると「仙台でやりました」という表現も
しっくりきます。

ところで,湯川さんの学会講演の内容は
「核力を担うものとして電子の可能性を議論し
それを否定的な結果を得た」というものです。
( 専門的にいうと電子はフェルミ統計に従う粒子だから
ダメでした。
このときに、
ボーズ統計に従う電子のようなものを考える必要性を、
仁科博士が指摘したという話も残っています。
すごい!)

朝永さんの著書“ 学問する姿勢 ”の
「 中間子論が出たころの思い出 」には、
東北大学の学会で、
湯川が彼の考えを棒で地面に書いて説明しながら,
「 強い力の説明はできたが、けったいな粒子が出てくるわ 」
といったとの記述があります。

繰り返しですが,
この話は、1933 年、中間子論の1年以上前なのです。
( 湯川さんが中間子の着想を得たのは1934年10月というのが
本人の回想にもあります。 )

湯川さんだけでなく、朝永さんも中間子論まで
あと一歩だったのかもしれません。

高橋徹より

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2007年07月11日

湯川・朝永展(中間子論の頃)

line

皆様

 広島市こども文化科学館で行われている
湯川・朝永生誕 100 年記念展に行ってきました。
今回の展覧会の目玉として、朝永さんが湯川さんに送った
直筆の手紙が展示されているのですが、
とても興味深いものだったのでの紹介します。

天満様、ちょっと専門的になります。
岩田さんはご存じでしたか?

湯川さんというのはとても几帳面な方で、
中間子論の研究資料をまとめて保管していたそうです。
今回、その中から朝永さんが湯川さんへ送った手紙が
展示されていました。
この手紙の存在は知られていたようですが、
展覧会などで公開されるのは、初めてとのことです。

この手紙は1933年( 夏前のようです )に
朝永さんが湯川さんに送ったもので、
中性子と陽子の散乱に関する研究の状況を
知らせたものでした。

手紙と言っても,物理のレポートのようなものです。
今、私たちはメールや WEB 研究の情報交換を
していますが、当時は手書きの手紙だったのです。
大変ですね。

物理では、物質と物質の相互作用を表すときに、
よく「 ポテンシャル 」という表現を使います。
このポテンシャルがどんなものかというのが、
相互作用の性質を決めるのです。

中間子論に関していうと、
「 原子核の中で中性子や陽子を結びつけている
核力のポテンシャルがどうなっているか 」
ということです。

ところが,朝永さんの書簡の中に、
中性子と陽子の散乱のポテンシャルについて
「 仙台でやりました 」とのコメントとともに、
これで良いようだという式が示してありました。
この式というのが、後に湯川ポテンシャルとして知られる
“ パイ中間子のつくるポテンシャルの形そのまま ”
なのです。

湯川の中間子論の論文は1934年ですから、その前年です。
びっくり!

中間子論から 50 年以上も経ってから
素粒子物理を学んだ私にとっては、
この朝永さんの手紙は、中間子論そのものに
見えてしまいます。

思いもよらず、興奮の 1 日でした。

高橋徹より

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2007年07月07日

<七夕> 愛は、時間も空間も縮めてしまうんです?

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天満様

岩田様、正しいでしょうか?

> ベガ( Vega 琴座の織女星 )とアルタイル( Altair わし座の牽牛星 )は
> 15 光年離れている。
> 光は、一年に1光年しか進めないから、単純に考えても、7.5 光年かかる。
> よって、ふたりは1年に一度逢えないのだ、と言われたことがあります。
> ロマンティックな気分が、吹き飛びました。

> 愛は、時間も空間も … すべてを超えるんです!

さて、難しいことになりました。
私たちからみると、7.5 年ですが
光速に近いスピードで走っている当人たちにとっては
もっと短い時間のような気がします。

愛は、時間も空間も、、、縮めてしまうんです??

高橋徹より

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2007年07月06日

私は、方向音痴ではありません

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岩田様

>名古屋に居た頃、頭の中では東西が逆転していました。

私は、方向音痴ではないと思うのですが、
名古屋では東西南北が混乱していました。

東海道本線や,山陽本線は東西に走っているという
固定観念があったのですが、
名古屋駅のあたりでは南北なんです。(北が大阪、南が東京方面 )
頭では理解していても、なかなかピンとこず、よく間違えました。

名古屋から三重を通って大阪に向かう近鉄特急は
南向き( JRでは東京方面 )に出て行くのです。
いつも????でした。

高橋徹より

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2007年06月17日

Re:考えて、考えて、考え抜けば…、その2

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Re:考えて、考えて、考え抜けば…、その2

> 脳も「 筋肉 」でできているんですよね。
> でしたら、脳をその使い方によって、洗練させると考えてよろしいのでしょうか?

脳は「 筋肉でできている 」とは、言えないかな。
スポーツなどで、練習すると上手くなるのは、
筋肉に命令を下す脳を鍛えている、ということでしょうね。
( もちろん命令の通りに動くことができるように、
筋肉自体を鍛えることも重要です。 )

私は、学生にこんなことを言います。
「 スポーツや楽器の練習も、結局脳のトレーニングをしているんだ、
勉強との違いは小脳か大脳かの違いだけ。
スポーツは練習をしないと上手くならないのは、みんな知っているのに、
勉強にもこれが必要なことは、あまり理解されていなくて、
それをやろうとすると、詰め込み教育などといわれてしまう。
授業を聞いただけで、勉強ができるようになると思ったら大間違いだよ 」

そうすると、
“ どうしてスポーツや楽器の練習は、みんな頑張ることができるのだろう? ”
という大問題につきあたります。

この話を始めると終わらないのですが、
スポーツや音楽の共通点は、あるとき「 できた!」とか、
「 試合に勝った 」という達成感でしょうか。
勉強ではこれが分かりにくい。

そういえば最近「 脳トレ 」が流行っていますね。
私も xx-DS を娘と取り合いしながらやっています。
( 昨年のクリスマスプレゼントは、これと、スーパーマリオのソフトでした )
テレビでもデジタル放送の双方向通信を上手く使った番組があります。

やっていることは、トレーニングの結果を点数化して
○ 過去の結果と比べる。
○ 他の人と競争する。
ということのような気がします。
アレレ、これを文科省がやろうとすると批判されて、ゲーム会社がやると売れる?

分からなくなったので、話題を変えましょう。

> 小柴先生の、特に「 考え抜き 」という部分は、
> 常人( 僕 )にはとても跳び越せないような、
> 非常に大きなバリアーを表現しているような気がします。
> すごい努力が必要と言うよりも、
> すごく努力できる能力こそ必要かなと思えてきます。

その通り!だと思います。
「 天才とは努力する才能である 」という言葉がありますが、
その意味は岩田さんの言われたことですよね。
小林秀雄がそんなことを書いていたことを思い出しました。

高橋徹より

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2007年06月13日

Re:考えて、考えて、考え抜けば…、その1

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 皆様、この話になると、返事が長くなります。

> 先生は、「 不思議 」という感覚を「 脳の働き 」に置き換えられるんですね。

いやいや、「 不思議 」は、やはりその通り受け取りますよ。
「 我々の知識と能力が及んでないので不思議と感じる 」場合と
「 偶然が重なって( つまり確率の低いことが起こったので )不思議と感じる 」
という二つがあると思っています。

天満さんの話にあった
“ 思わぬものが、思わぬこととつながっていると「 不思議 」 ”
… これは後者
“ あるきっかけが、全くちがった出来事を引き寄せると「 不思議 」 ”
“ 全く異なったものに共通点を見つけると「 不思議 」…。”

この二つは私の感覚では「 不思議 」なことが起こったというよりも、
「 面白い 」ことが起こったという感じです。

そういえば、以前私が「 面白い 」を連発するので、
天満さんが戸惑ったことがありましたね。
このあたりの感覚の違いが原因でしょうね。

もちろん、「 不思議と感じる 」とは私たちの脳がどのように反応した状態なのか?
という問題は残っていますけど、、、、これが天満さんの言われる
“ 「 不思議 」という感覚を「 脳の働き 」に置き換える ”
ことに近いかな。

高橋徹 より

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2007年05月30日

「不思議」と「脳の働き」

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天満様

メール拝読しました。
「 物理屋往復書簡 」が始まったきっかけにしてもそうですが、
不思議な縁というのは、あるものですね。
私は、科学を本業としていますので、客観性ということを重視しますが、
世の中で起こった不思議なことには、
現代科学が、人の感覚に及ばないことが、多々あると思っています。

特に、感覚 … 結局これは人の脳の働きということになりますが、
これは今の私達の知識ではとうてい理解できません。

実は、今日もそんなことを考えていました。
ちょっと長くなりますが、、、、
昼休みに時間があるときは、大学周辺を歩くのですが、今日はその日でした。
歩きながら頭に浮かんだのは小柴先生の言葉、
天満さんもよくご存じだと思いますが、
「人間、考えて、考えて、考え抜けば、山勘も良くなる。」
です。

これを聞いた人の多くが、前半部分( 考えて、、、)の意味を
忘れているような気がしてなりません。
考えて、考えて、考え抜くことによって、
脳の回路( ニューラルネットワーク )が鍛えられているのです。
スポーツや楽器の練習などで練習を繰り返すのと同じです。

その上で、山勘を働かせるというのは、
決して単なる当てずっぽうではありませんね。
練習に裏打ちされた、非常に複雑な論理的な思考が
無意識のうちに行われているのだ、と私は考えています。
そのことを本人が意識していないのが
「 山勘 」という表現に表れていると思っています。

この無意識に行われている論理的思考
( 実は、これが行われているというのは、私の山勘です。 )を、
科学的に解明できたら、
きっとノーベル賞( どころではない、人類社会を変えてしまう )だろうな、
と散歩しながら考えていました。

以前、脳理論にも少し手を出したことがあると言いましたが、
その動機はこんなところです。
小柴さんは将来孵(かえ)るかもしれない、卵を持っておけとよく言われますが、
この卵は孵ることはないだろうな、と思いつつまだ持っています。

高橋徹より

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2007年05月23日

Re:KEK の草むらには

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皆様

この話で私も思い出しました。
私が学生で KEK にいた頃、やはり警備員室ところに
マムシがでた、と張り紙がありました。
私の記憶が正しければ、マムシが見つかったのは、
実験室の地下 4 階、つまりトパーズ測定器のあるところ
だったのですが、、、、
( 今そこには、B ファクトリーの測定器があります。 )

研究等から実験室まで歩くことも多くありました。
その途中で、マムシに出会うことはありませんでしたが、
アオダイショウには何度か会いました。
頭の上を、カラスの大群が飛んでいることもよくありました。
あれから 20 年近くになります。今はどうなのでしょうか…?

高橋徹より

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2007年05月04日

小柴先生講演会

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岩田様、天満様

先日お話した小柴先生の講演会の話です。
天満さんは来られていたので、内容はご存じなのですが、
ちょっと裏話も、、、

この講演会は宇部市の青年会議所の企画で、
老若男女 300 名近くの参加者がありました。
それだけでなく、山口大学の偉い方々も来場されていて
何事かと思ったら、地元の代議士の方が来られていました。
それで納得。

ところで、参加者は小学校低学年から初老の方までだったので、
小柴先生も話題の選択に困られたようです。
物理学の話はほとんどなく、平成基礎科学財団の設立顛末記が
ほとんどでしたね。

講演会の後、私も手伝って霧箱の実験などをやりました。
私は、掃除機で空気中のラドンを集めたのですが、
実は持って行った霧箱が上手く働かずに
ラドンからのアルファ線を見ることはできませんでした。
それで万事休すか、というとそうでもなかったんです。

霧箱は、失敗することがあると考えていたので、
「 はかるくんⅡ 」というベータ線やガンマ線の簡易測定器を
持って行っていました。
それのおかげで、ラドン( の崩壊物質が出す )ベータ線を測ることができたので、
空気中のチリの中にラドンが入っていることを
見てもらうことができました。
それと、食品中のカリウムからのベータ線を見てもらうために、
昆布と低ナトリウム塩( 塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムを使っている )に
測定器を当てて、何もない時よりも多いことを確かめてもらう
ことができました。

この「 はかるくんⅡ 」を持って行くことは、水曜日に思いついて、
急遽これを貸し出している「 科学技術振興財団 」にファックスを送って
金曜日に受け取って、土曜日に予習をして、日曜日に本番でした。
これを持っていなかったら、どうなっていたでしょうね。
あ~~よかった。

ところで、このほかにも液体窒素を使った実験を行ったのですが、
今回参加した、高エネルギー物理屋の中には液体窒素を使った
実験に詳しい人はいなかったのです。
それを知って、急遽広島大学の低温物理学の先生
( この方は、高校などでよく演示実験をやっている )に
「 小柴先生の顔が見られるよ 」といって来てもらったのです。
( 実際は、火曜日にいきなり部屋を訪ねて、「 今度の日曜日は空いている? 」
と聞いたのですが )
この方の周りは、人だかりでしたね。
本人も小柴先生の名刺をもらったので、自慢できるとおっしゃっていました。

ということで、なんとか上手くいったと思うのですが、
天満さんのご感想はいかがでしたか?

高橋徹 より

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2007年04月30日

Re:加速器がわかる本 Newtonムック

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みなさま

Newtonムックを見ました。
なんといっても、CGを駆使して目に訴えているのが、良いです。
素粒子関係は宇宙に比べてきれいな絵が作りにくいので
一般に訴えにくいということが言われて続けていました。

すばるの星の写真には、なかなか敵いませんが、
それでもいろいろな図がそろってきました。
私も大学生や高校生に話をする機会がよくあるので、
こういうネタが充実してくることはうれしい限りです。

ちょっと驚いたのは ILC の全体像です。
これは最新の構成図をもとにしているようです。
それが固まったのは昨年の 11月末ころで、それまでとは大きく変わりました。
関係者の努力が目に浮かぶようです。


********************************

でも、一言だけ、最後のレーザープラズマ加速の部分;
本文はレーザープラズマ加速の解説なのに、挿絵の方は
( レーザーを使わない )プラズマ加速になっていますね。

高橋徹より

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2007年04月21日

小柴先生講演会 予告2

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みなさま

ここからが本題です。
マントルから出るα線でも良いのですが、
せっかくだから、身の回りの放射線を霧箱で見た方が
もっとおもしろいですよね。
空気中には壁からでてくるラドンが含まれています。
( あれっ、この話、前もしましたっけ??
だとしたらもう一回聞いてください。((_ _)) )

それだけだったら濃度が低すぎるのですが、
集めると霧箱で十分に見えます。
どうやって集めるかというと、掃除機で集めるのです。
掃除機の先にフィルターをつけて、20 分も動かしておくと、
フィルターに集まった塵と一緒にラドン
( 正確にはラドンが崩壊したポリニウムという元素ですが )
が集まります。

これを霧箱の中にいれて見せると、かなりウケます。
今度もやってみようか、と思います。

ところで余談ですが、掃除機の先につけるフィルターは
何が良いと思いますか。
コーヒーのペーパーフィルタなどを使うと 10 分もしないうちに
掃除機が過熱して止まってしまいます。

結局、掃除機の紙パックフィルターが手に入りやすくて、
掃除機も過熱しない( 掃除機に使うためのものですから )
それにゴミを集めるものなので、空気中の塵も良く集まる。
ということで、これが一番よいようです。
実験してみて初めて分かりました。

大学の先生は暇だなって、、、これも教材作りの仕事なのですよ、、、、

22 日の様子はまた報告します。

高橋徹より

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2007年04月20日

小柴先生講演会 予告1

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岩田先生

>国際リニアコライダーでは、公用語は何になるんでしょうかね。

今まで、漠然と当然のように英語と考えてきました。
少なくとも第2公用語は現地語ですよね。日本語?

みなさま

ところで、今月の 22 日に山口で高校生向けのイベントがあります。
小柴先生の講演会と実験の演示です。
演示の部分は、山下さん、大森さんをはじめ何人かの方が
来られます。私も手伝いに行く予定です。
実験演示では霧箱という放射線を目で見ることができる
簡単な実験装置(装置と言うほどのものでもないですが)を
高校生に作ってもらうことになっています。

実際に何を見るかというと、ランタンの芯( マントルと言います )
から出てくる α 線です。
マントルには微量ながらトリウムを混ぜているものがあります。
そうすると、火をつけたときに発色が良いそうです。
そのトリウムから α 線が出ます。
でも最近は、各メーカとも放射性物質を使わない方針なので、
キャンプ用品屋さんで売っているマントルは
ほとんどトリウムを含んでいません。

大学で霧箱の実験をする教材を探しに、広島で何軒かキャンプ用品屋を
まわりましたが、すべてダメでした。
そうしたら、どなたかが、中国製の何とかというマントルならば
トリウムを含んでいると教えてくれたので、
それを取り寄せてようやく、欲しい物が手に入りました。
なかなか手に入りにくいので、大事に使っています。

高橋徹より

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2007年04月06日

Re Re:番外編・海外での確定申告

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岩田様

そういえば、私の運転免許証も
平成 5 年発行です。

岩田さんと同じことになったのでした。
私の場合は、しばらくの間
アメリカで発行された国際免許で運転していましたので、
確信犯ですが……。

運転歴はパーですが、
裏に、「 初心者マーク免除 」という但し書きがありました。

海外生活を始めた頃や、
帰ってきた時のことを考えていると、
いろいろな出来事を思い出します。

また次の番外編の時に書きましょう。

高橋徹より 

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2007年03月28日

番外編・海外での確定申告

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みなさま

先日、確定申告の書類を書いていました。

それで思い出したのですが、
アメリカでは収入のある人全員が
確定申告をする義務があります。

通称 Tax Return と呼ばれているものです。
そういえば、スペースシャトルの飛行士が宇宙にいて
この書類の締め切りに間に合わないから何とかしてくれ、
と言っていました。
アメリカでは、こんなジョークが通用するくらい、
一般的なものです。

全国民が書くので、ふつうの人にとっては、
それほど複雑な書式ではありませんし、
最近では、いろいろ便利なソフトが発売されたりしています。

ところが、アメリカで生活を始めたばかりの外国人は、
いわゆる一般の人ではないんです。
最初は非居住外国人( Non-Resident Alien )という扱いです。

何が困るかというと、
こちらの方が、一般に比べて、
書式が複雑で面倒なのです。
( 1040NR とか 540NR という書類でした。
難しかったので、帰国して 10 年以上たった今でも、
書類の名称を覚えています。)

アメリカ生活を始めたばかりで、
税制どころか、生活習慣もよく分からない。
英語も満足に理解できないのに、
税金の書類など理解できるはずもありません。

それでほっておいたら、
数ヶ月後に税務署から電話がかかってきました。
州税の申告をしていないので
200 ドルのペナルティーなんだそうです。
泣く泣くペナルティーを払いました。

国際共同研究で海外から人が集まると、
こんな生活密着の習慣でとまどう人が、たくさんいるでしょうね。

数千人規模で、外国から人が集まる町を作るためには
こんな部分のサポートが、とても大切になると思います。

高橋徹より

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2007年03月10日

続・北京会議の話

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天満様

ちょっとわかりにくいので、車の開発にたとえてみます。

ILC 自動車会社が、その社運をかけて全く新しい車
(仮にILC = International Linear Carとでもしましょう)
開発して売りだそうとし、まずはエンジンやサスペンションなど
個々の技術開発を行ってきました。
ILC 社内でも、各研究部門が競争して、
エンジン開発を行ってきたのですが、
財政上 2 台の新車の販売は困難となりました。

そこで、まずもっとも根幹となるエンジンの形式を
決定したのです。
2004 年の超伝導の採用はエンジンの技術をロータリーにするか、
レシプロにするか、( 空冷と水冷といった方が良いかな? )
という決定に対応するのでしょうか。

もっとも根幹となるエンジンの技術が決まったので、
まず車( ILC ) の基本構成をつくりました。
乗用車か SUV か、スポーツカーか、高級車か、
というところです。
これが基本構成です。

それが決まったので、より詳細な車のコンセプト;
エンジンの排気量や定員などの全体の形がきまった段階が
基準設計といえます。
その中には、値段の初期見積も含まれています。

今後それを製品化して、量産するための製品開発と設計が
工業設計ということに対応します。
ILC は今からこの段階に入ります。

それができたら、経営陣が量産と販売に go サインを出すかどうか
判断することになります。

ILC が今どの段階にあるか、少しは実感してもらえたでしょうか。

高橋徹より

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2007年03月06日

北京会議の話

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天満様

2 月 4 日から 7 日まで
北京で、ILC に関する重要な会議がありました。
ちょっと話しが硬くなるのですが、話してみます。

2004 年に超伝導技術を使う ILC が発足した後、
国際設計チームが組織され、まず基本構成
( Baseline Configuration ) を作ってきました。

これができたのが 2005 年末頃で、
その後基準設計( Reference Design ) が作られてきました。
これ( の案 )が先日北京で行われた会議で報告され、
それをうけた ILC運営委員会 ( Steering Committee ) が
記者会見を行いました。
2 月 8 日のことです。

これは、ILC 発足後の最初の大きなマイルストーンである
と言われています。

ILC には何千台もの加速器装置や
それに付随した数多くの施設が必要です。
実機を作るには、
そのような量産が可能な設計が必要なのですが、
基準設計は、その元になるものです。
つまり、 ILC がどんなものになるのか、決まったことになります。

今後、ILC の開発は、新たな段階になります。
基準設計に沿って、それを実現するための開発と、
それに基づいた実機の設計を行っていくのです。

その成果は、工業設計( engineering design )という名前で
まとめられますが、これは 2009 年から 10 年くらいでしょうか。
そしていよいよ、建設の実現へ向けて、、、ということになります。

高橋徹より

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2007年02月24日

Re:Re:『天使と悪魔』と反物質

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皆様

実は、『天使と悪魔』は買っただけで、
最初の数ページしか読んでいません。

岩田さんの最後の文章を読んで、読んでみなくては!
と思いました。
これ、かなり強力なキャッチコピーになっていますね。

高橋徹より

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2007年02月08日

Re:Re:『天使と悪魔』

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皆様

実は、まだCERN に言ったことがありません。
SLAC も FNAL も何度か行きましたが
スイスは、(新婚)旅行で訪れたきりです。
私が行ったことが無いというと
同業者は、ちょっとびっくりします。

今年の 3 月 6 日、7 日と私が今やっている
研究直結の研究会が、CERN で開催されるので
「 是非行かないか 」と誘われ、その気になっていたのですが、
なんと、私が指導教員をしている学生の学位審査の日程と
ドンピシャ重なってしまいました。

また次の機会までおあずけです。

高橋徹より

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2007年01月25日

放射光とコンプトン散乱の違いについて(その2)

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閑話休題

実は、スプリング 8 でこれをやっている人もいるんです。
そうすると、数 GeV というとっても高いエネルギーの光子ができます。
これを標的にぶつけて原子核物理学の研究が行われています。
ILC の 250 GeV の電子とレーザーでこれをやったらどうなるでしょう。

計算してみると、200 GeV というほとんど電子と変わらないくらいの
エネルギーの光子ができることになります。
ILC は超高エネルギー光子ビームもつくれるのです。
技術的にまだ難しいところが残っているので、
原理的には… ですが。

話を X 線発生にもどしましょう。
先日も言いましたが、この方法の問題は、松井選手といえども、
ホームランを打てる確率はあまり高くないことです。
ですので、十分な量のホームランを打ってもらうためには、

* 何度も何度もバットを振る
* ピーチャーは、できる限り多くの数のボールをど真ん中に
 (このど真ん中は重要)投げ続ける
ということが必要です。

コンプトン散乱に置き換えると
* エネルギーは放射光の1/100程度で良いので、
 多量の電子できるだけ小型の施設で作る
* レーザーの強度をできるだけあげて、小さく絞る(これがど真ん中の意味)
となります。

先日も少し言いましたが、
電子加速は常伝導加速のリニアコライダーのために開発されていた技術ですし、
レーザーと電子のコンプトン散乱も ILC のビーム技術開発として
いろいろなところで研究されています。

先日の説明と重なるところがでてしまいましたが、
2 回聞いて(読んで)いただくと、少しでもわかってもらいやすいかと
思ったのですが、いかがでしょうか。

高橋徹より

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2007年01月22日

放射光とコンプトン散乱の違いについて(その1)

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天満様

ところで、先日、血管造影に最適な、30 keV 程度の X 線をつくるには、
放射光施設では高エネルギーの電子が要るので、
スプリング 8 や KEK ー PF のような巨大な施設になってしまうのだけれど、
コンプトン散乱を使ったビリヤード方式ならば
はるかに小さいエネルギーの電子でも OK だという話をしました。
今日は、なぜこんな違いがでるのかの説明を試みて見ます。

先日も言いましたが、光は波としての性質と光の粒 = 光子としての、
両方の性質を併せ持っています。
放射光とコンプトン散乱の違いは
まさにこのどちらの側面を利用しているかの違いです。

●まず放射光から:
やはり電子の代わりに、ボールを考えましょう。
真空中の波動が光ですが、これでは想像しにくいので、
真空 ~ 水、光 ~ 水の波、と考えてみます。
(真空中には水の代わりになるものは何もないから、
そんなたとえは、だめって? いやいや、これこそが
20 世紀の量子力学の成果です。)

ボールが水の中を動くと、それにつれて周りの水も動きます。
動くというのを良くみると、いろいろな振動数(波長)の波が
入り交じっていると考えることができます。
放射光というのはこれを連続的に起こすために、
水面上でボールをぐるぐると回し続けるようなものです。

ところで光のエネルギーを波の言葉でいうと、
エネルギー = 振動数 × プランク常数(これは単に常数と思いましょう)
です。

つまり高いエネルギーの光を出すということは
高い振動数の波をつくることになります。
ボールを水面上で動かして、水面に波を起こす方法では、
高い振動数の波ができにくいのは、想像できますか?

ちょっとまじめに計算すると
(ここからボールと水でなくて放射光の話になります)
放射光のだいたいのエネルギーは、電子のエネルギーの 3 乗に比例して
回転(すなわち加速器の)半径に反比例します。
これに、電子を曲げるには電磁石が要るとか、
放射光を出したことによって、親の電子自体が失ったエネルギー
(これは放射光のエネルギーの 4 乗に比例するのです。)
を補ってやらないと、加速器中を回し続けることができないとか、
実際の技術的なことが絡むと、結果としてスプリング 8 とは
KEK - PF のようなことになってしまいます。

コンプトン散乱の場合は、
ビリヤード方式の電子という粒と光子という粒の衝突ですから、
エネルギーの高い電子をつくっておいて、
それをエネルギーの低い光子(レーザー)にぶつけて、
光子は跳ね返すという、描像です。

電子 ~ バット、光子 ~ 野球のボールと置き換えると、
松井選手がホームランを打つような感じです。
高いエネルギーの光子を作り易いのが想像できてもらえたら、
うれしいです。
電子のエネルギーは松井選手のバットスイングのスピードに相当しますが、
30 keV の X 線をつくるのに、ウルトラマン(スプリング 8 ? )に
打ってもらう必要はありません。

高橋徹より

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2007年01月16日

ILCの加速技術

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みなさま

ところが、今病院にあるX線発生装置では
30 keV の X 線だけを造ることはできません。
いろいろなエネルギーの X 線が、混ざってしまいます。
それに 30 KeV の X 線というのは
X 線としてはかなり高いエネルギーなので、
強度もあまりありません。

ご存じの放射光施設では、電子をリングで曲げることによって
光(放射光)をつくります。
これを使うと、原理的に 30 keV の X 線を取り出せるのですが、
なんとこれができるのは、 KEK の PF とスプリング 8 という、
日本に 2 台の大型施設だけです。

ところが、ビリヤード方式、つまり、クライン仁科の公式で記述される
「 コンプトン散乱 」を使うと、電子のエネルギーは 40 MeV、
つまりスプリング 8 の 200 分の 1 ですみます。
" 電子 "という粒子で、" 光子 " という粒子を直接跳ね返すので、
効率が良いのです。

ここで、リニアコライダーの加速技術が登場します。
今の ILC の前に高エネルギー研で開発されていた、
加速方式( X バンド加速管といいます)を使うと、
40 MeV の電子ビームというのは、
1 m 程度の加速器でできてしまいます。
これだと病院に 1 台もできそうですよね。

問題は、血管の写真が撮れるほど強い X 線を造るには、
電子に当てるレーザーの強度が、かなり強くなければならないことです。
(放射光の場合、 PF とかスプリング 8 ならば、これはなんとかなります)
この技術が、ちょっと難しい。
( せっかく加速器が小さくても、レーザー装置が巨大では話になりません。 )
電子にレーザーをあてて光子をつくるのは
ILC のいろいろなところにも使われます。
そのため、この技術開発は勢力的に行われています。

ILC の技術が,狭心症や心筋梗塞の治療に直接役立つ日がくるのは、
そんなに遠い将来ではないと思っています。

高橋徹より

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2007年01月13日

Klein-Nishinaの公式と、血管造影の意外な関係

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みなさま

いま、心臓血管造影をどうやっているかご存じでしょうか。

血液は、そのままでは X 線写真に写らないので、
手首などから、カテーテルという管を冠状動脈の入り口まで通して、
その先から造影剤をピュッと入れます。
そうしたら、造影剤をいれたあと数秒間は
X 線写真で血液の流れをみることができます。

今の技術では、心臓の入り口まで通した管から
直接造影剤を入れて、濃い造影剤を流さないと
X 線写真に写らないのです。

手首からカテーテルをいれるのは、結構大変ですよね。
昔は、足の付け根からいれていました。
その方が太い血管を通って心臓までいけるからです。

手首からでも、できるようになったのですが、
それでも、" カテーテル治療 " というのは手術に準ずる施術です。
心電図などで、他になにか兆候が現れてかでないと行わないし、
" インフォームドコンセント " が重要視されている現状では、
心筋梗塞などでヒーヒー行っている患者に
カテーテルの危険性とか何とかを説明して、
承諾書にサインさせるんです。

ちょっと話がそれましたが、
さっき言った血管造影に最適な 30 keV の X 線を使うと
感度をとても上げることができて、
造影剤を静脈注射でいれれば、済むようになります。
これは、大げさでなく「天の助け」です。

高橋徹より

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2007年01月10日

コンプトン散乱とILC

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みなさま

クライン仁科の公式は、過去の遺物ではありません。
この電子と光子の散乱は、 ILC に深く関わっています。
それだけではありません。
心臓血管造影の新しい方法として
勢力的に開発が進められています。

数年前に、私の研究室の修士課程の学生さんには
この公式を使った計算で、修士論文を書いてもらいました。

前回、止まっている赤玉( 電子 )に白玉( 光子 )を
ぶつけると跳ね返る、というような話をしました。
今度は逆に、早く動いている赤玉を
ゆっくり動いている白玉にぶつけてみます。
( 光子は常に光速で動くので、 この言い方は本当はおかしいのですが、
ゆっくり動く白玉をエネルギーの低い光 〈 光子 〉と考えてください。 )

赤玉が、とても早いスピードで白玉にぶつかると、
白玉は、とても勢いよく跳ね返されます。
つまり、早い白玉 ~ エネルギーの高い光子を
つくることができました。

これが、最近とても注目を集めています。
実際には、加速器中の電子ビームにレーザー光をあてるのです。
この方法で X 線を造ると、血管造影に最適なエネルギー
(30 keV )の X 線をつくることもできます。

高橋徹より

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2007年01月07日

Re:Re:Klein - Nishina の公式

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岩田様、天満様

岩田さんのメールを読んで、私も学生時代を思い出しました。
私と岩田さんは、大学ではちょうど入れ違いでした。
私が 4 年生として研究室に入った 4 月に
岩田さんは KEK に移られたのでした。

あの研究室に入ると、まず荷電粒子や光子の
検出器中での反応について、徹底的に仕込まれます。
岩田さんが苦労されたくらいですから、
光子の反応を初めて勉強する学生にとって
“ コンプトン散乱 ” は大敵です。

4 年生は勉強した結果を
先輩の大学院生や研究室のスタッフの前で発表するのですが
まともにできるはずはありません。
その場で徹底的にしごかれます。

“ コンプトン散乱 ” と、検出器のことを考えると
今でも、当時のことが思い出されて
RK 先生の大きな声が、頭の中に鳴り響きます。

そこに岩田さんまでいたら、いったいどうなっていたのでしょう。
想像するだけで…… ( その後は想像におまかせします。 )

高橋徹より

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2007年01月01日

Klein - Nishina の公式

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みなさま

新年あけまして、おめでとうございます。
今年も楽しいやりとができるとよいですね。

さて、新年早々の話題としてはカタイかもしれませんが、
宿題となっていた、クライン・仁科の公式です。
式自体を説明しても仕方がないですよね。

これは、電子と光の粒である ( 光子 ) の衝突の大きさ ( 確率 ) を
計算する式です。
電子に光が当たると、電子がはじきとばされるという現象は
「 コンプトン散乱 」と呼ばれますが、
光が粒子の性質を持っていることの証拠として非常に有名です。

まず、ここからやってみましょう。
光が、電磁波という波としてだけ振る舞うとします。
光の代わりに水面上の波、
電子の代わりに水面に浮いているボールを考えてください。

波がやってきてボールにあたると、
ボールは、波の振動で「 その場で 」上下しますが、
決して波と一緒に移動することはありません。
つまり、光が電磁波という波だけの性質をもっているのならば、
光が電子に当たっても、その場でちょっと振動するだけのはずです。
( じゃ、サーフィンはどうなっているのかって?
これは難しいのでまた別の機会に。 )

今度は、ビリヤードを考えてみましょう。
電子の代わりに赤玉、今度は光は粒なので
白玉を考えてみます。
止まっている赤玉に白玉を当てると、赤玉は動きますね。
つまり、電子は、光によってはじきとばされます。
白玉と赤玉の当たる角度やスピードで
跳ね返る方向やスピードも違います。

電子と光の衝突で、実際に起こっているのは、
このビリヤード現象と波の現象の両方が
入り交じった複雑なものです。

“ クライン仁科の公式 ” は、この現象を記述する ( もちろん光と電子で )
公式です。

ところで、ビリヤードのテクニックで、
「 押し 」とか「 引き 」とか「 ひねり 」というのが
あるのをご存じですか。
当てる球にいろいろな回転を与えると、
当たる角度やスピードが同じでも、跳ね返り方が違うので、
それを利用して、高得点をねらうのです。

玉の回転 → 粒子のスピンが思いつけば、
天満さんも、相当な素粒子かぶれですね。
実際のコンプトン散乱にも、スピンが大きく影響します。

今日はこの辺にしましょうか。

高橋徹より

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2006年12月12日

SSCの顛末

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天満さま

SSCの顛末ですが、
ILCの状況とも少しからみますので、紹介します。
これは、SSC否定派であった私のコメントです。

SSCはご存じのように
全周100kmほどにもなる巨大加速器計画で、
すでに建設が始まっていたにもかかわらず 1993年に中止されました。

そもそもこの計画はアメリカの素粒子実験プロジェクトとして始められました。
当初の計画では50億ドル程度の建設費でしたが、その後の設計変更により、
80億ドルにふくれあがりました。
そのため、米国の予算では足らなくなり、
(急遽)国際共同研究として米国外からの資金調達をもくろみました。
その最大のターゲットはバブル経済まっただ中の日本でした。
(ただし、日本では90年代初頭にバブルが崩壊してしまいましたが)
たしか10、20億ドル程度の貢献を求められていたと思います。
その、日本からの資金調達方法ですが、日米首脳会談の議題とするという、
物理学者の遙か上のレベルで決着しようとしました。

当時、日本の高エネルギー物理学業界では
SSC積極派と消極派が真っ向から対立し、激論を繰り返していました。
双方の意見を要約するとこんなところです。

●積極派
これは、国際共同研究である。日本も大きく貢献するべきである。
日本に求められている資金貢献は日米のトップレベルで決められることであり、
この支出がなされたとしても、通常ルートの文教予算獲得において、
他の素粒子実験に悪影響を及ぼすことはない。

●消極派
これは、国際共同研究のふりをしているだけで、
実態は米国の国内プロジェクトである。
その証拠にアメリカ議会の予算決議がその生殺与奪を握っている。
実質上米国の国内プロジェクトである SSCに巨額の投資をするのか。
資金は雲の上できめられることといっても、素粒子実験業界の外みれば
素粒子実験に巨額の支出がなられたということにかわりはない。
他のプロジェクトに対する影響が無いなどということは考えられない。

議論はいつも平行線でした。
当時文部省関連のプロジェクトで最大のものはトリスタンの
700億円(約 5億ドル)でしたので、
それを遙かに超える額を米国に支払うということを意味します。

結局、日本の態度がきまらないうちに、
1993年にアメリカ議会で次年度の予算が否決され、
SSCは終わってしまいました。
その背景には冷戦の終了によって、
国威発揚という意味が失われたことも大きく影響していると思います。
消極派もこの決定には驚きました。

日本では一度始まった公共事業が
中止されることはほとんどないですからね。
日本の支出する金額がいくらになるかは議論になるとしても、
計画事態は進むことになるだろうという予測はありましたし、
物理の観点からもやれるのであれば、結果が見たいというとはありました。
米国の消極派からも米国の共同研究のパートナーとしての
信頼性が大きく失われたというコメントがあったと記憶しています。

リニアコライダーの研究は当時から進められていたのですが、
リニアコライダーをやっている人々に消極派が多かったのは、
想像に難くないでしょう。

このような教訓からリニアコライダーは
その計画段階から国際共同研究で行うことを強く意識しています。
ILCというひとつの計画にまとめたのも、このような理由があります。

高橋徹より

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2006年12月10日

Re: 第3期科学技術基本計画

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天満さま

> ちょっと解らないことがありました。
> SSCって、確か幻の
> 超大型円形粒子加速器(Superconducting Super Collider)の略で
> いいんですよね。建設が中止になった詳しい経緯は、
> よく知らないので、また勉強しておきます。

その通りです。
これの建設については、素粒子物理屋のなかでも賛否両論、
ケンケンがくがくの議論が続いていました。
建設中止になったのは私が広島に来た時期と重なっています。
広島大学の方は建設積極派なのですが、私は消極的な方でしたので、
広島に来たときには少しとまどいました。
このあたりの様子はこんどお話しましょう。

高橋徹より

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2006年12月07日

Re:KEK見学会

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天満さま

まず、先日の3つの質問について。
我々の仲間のなかでも非常に勢力的な活動をしており、
国際的な状況も正確に把握している方(東大の山下さんなど)に
意見を聞いてみました。彼の答えを要約します。

> (1)建設地は、いつ頃決まるのでしょうか。
> (2)建設着工予定はいつですか?

建設地、着工に関して…
最終的には参加国の政府間で決まることになります。
加速器の設計は設計は2009年までに終了している予定なので、
日本としはいつ決まってもすぐに建設が開始できるように準備をしている。
建設は誘致したい国の中で候補地を決めておく。その後は政府間の協議が絡む。
我々研究者は2009年の設計完成に間に合うように候補地を決めたいと思い、
準備しているが、正式に決めるためには政府抜きではできない。
またそのためには社会全体のサポートが必須なのです。

ここからは高橋のコメントですが
結局、政府のバックアップを得る < 社会のサポート < 広報
という流れをつくるしかないです。
2009年というのは今から3年しかないわけです。
これから考えると2009年1〜2年で建設地が
決まるという感じでしょうか。

> (3)ILCプロジェクトの、サイト以外の広報活動は?

サイト以外の広報活動…
予算とアイデアがないためにサイト以外の広報活動はなかなかできない状況。
機会あるごとにオピニオンリーダーといえるような方々に御紹介してきたが、
これからは広く社会へ向けての発信が最も緊急。
たとえば昨年はお台場の日本科学未来館で、
小柴さん、立花隆さんらをよんでシンポジウムが行いました。
ただ、新聞などでは専ら候補地の話が取り上げられることが多く、
これだけだと逆に混乱するような状況。
いろいろな方に応援団になっていただき、
そこからまた発信していくという状況をつくれればよい。アイデア大歓迎!

というところです。参考になりましたか?
そういえば、日本未来館に加速器実験(B)の常設展示ができたそうです。

さて、

> 本当なんですか?
> タイムスケールでの最初の衝突は、いつ頃なのでしょう…
> 自分の手で、最初の衝突を見届けられないかも知れないのに、
> 多くの世界中の研究者やエンジニアが
> 全身全霊でILCに打ち込んでいるのですか。

とのことですが、その通りです。
上に書いたこととも関連しますが、
最初の実験がいつになるか定かなことはいえません。
私は学生や一般の方には201X年と書いたスライドを見せます。
Xは5が目安(目標)です。
上で書いたことから行くと2009年設計完成
2010年建設地決定、そこから5年で建設というシナリオになります。

日本の国立大学法人は定年を63歳としているところが
ほとんど(すべてかな)ですから、今52から53歳の方がぎりぎりです。
これはいまの ILCで指導的役割を果たしている方々のなかで
もっとも若い世代となります。

高橋徹より
 

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2006年11月21日

Re: 初心者が ILCを理解するのに役立ちそうな本をご紹介ください。

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天満様

実験屋と理論屋が犬猿の仲であるというのは、
誤解というか最近はそうでもありません。
確かに、双方で
なかなか話が通じない時期はあったと思います。
でも最近、素粒子をやっている実験屋は、
理論屋と協力的にやっています。
理由は簡単で、実験も理論は研究が進んできて
逆に実験だ理論だといっていられなくなってきのです。

確かに超ひも理論がそのまま現れるエネルギーを
直接加速器で観測するのは、無理だと思います。
しかし ILCでも、それにつながる道筋を
見つけることができる可能性があると思っています。
ILCのエネルギーは、
現在の最高エネルギーの加速器の数倍でしかありません。
それを数千億円もかけて作ろうとしているのです。
もし、今の数倍のエネルギーのことだけしか
わかる可能性がないとしたら、
納税者に説明はできないでしょうね。
でも、ILCでエネルギーを数倍にすると、
超対称性から大統一理論というシナリオに対して、
とても重要な情報が得られると考えられています。
そのシナリオが間違っていた場合は、
はっきりそれがわかると思います。

理論と実験の話にもどりますが、
この二つを比較的はっきり区別するのは、
年配の研究者に多いとような気がします。
彼らの時代がそうだったからです。
私は物理を研究するのに
計算という方法を使うのが理論屋、
(計算もしますが)測定器をつくって
実験をするという方法を使うのが実験屋と考えています。
つまり手法が異なるだけです。

両方できればいいのですが
計算も実験も技術や労力が非常に大きいので
両方はできないのです。
ただ最近は、計算機の発展で、
一昔前はとても大変だった計算が
我々にできるようになりましたし、
シミュレーションのソフトととても進んで、
実験の専門家でなくても、
実験のシミュレーションをしようと思えば
ある程度はできるようになりました。
そのようなこともあり、
理論と実験の垣根はかなり低くなってきたと思います。
このような進展はここ10、20年で顕著になってきたので、
まだまだ両方を区別する人が多いのは事実でしょうね。

──余談ですが、
某研究所がつくった大学生向けのビデオがあるのですが、
その中で研究者の紹介をするテロップが
xxxx大学教授(理論)、yyy大学教授(実験)というような
書き方をしていました。
私はそのビデオを学生にみせた後、
(理論)とか(実験)というようなことを
肩書きにつけるようなセンスは
全く前時代的悪癖であると言っています。

長くなりましたがもう一点 ILCのことを書いた適当な、
入門書ですが、「ない!」ということに気がつきました。
素粒子物理を専攻する大学院生向けのものはあるのですが。

最近、KEKの退職された方がその記念(?)に書きました。
もう一つ英語のものは10人ほどの共著でそれぞれの得意な分野を
1章ずつ担当したものが、つい最近でました。
私も1章担当しました。
でも、ILCのことをきちんとかいた
ブルーバックスのような本はありません。

これは問題ですね。
すぐにでも関係者で議論することだと思いました。
これを(いまさらながらですが)思いついただけでも、
このやりとりをしているかいがありました。
もう少し、探してみようと思いますが。

高橋徹より

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2006年11月17日

Re: PET(Positron Emission Tomography) 資料の件

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天満さま

PETで心筋の検査という話は聞いていませんでした。
ガン検診が一般的ですね。ちょっと調べてみます。

ところで、加速器の応用としては、
医療目的の応用がとても大きな位置をしめます。
ガン治療や、血管造影のためのX線生成にも、
加速器を使う方法が開発されています。
ただ加速器はどうしても大きくなるので、
小型加速器の開発というのが大きなテーマです。
ILCは大型加速器ですが、そこで培われた技術は
小型加速器の開発の役にたつと考えています。

天満さんの話にもでた陽子線によるガン治療ですが、
最近は陽子はもとより、もっと重たい元素(炭素など)による
重イオン加速器が注目を集めています。
千葉にある放射線医学研究所の
HIMAC(ハイマック)という加速器が有名です。
これは人体の回りの組織にあまり影響をせず、
ガン細胞だけを集中的にやっつけることができるので、
ガンの治療方法として非常に注目を集めています。
やはり問題は加速器が大型になることです。
でも最近は、日本の何カ所かで、
建設の話がでています。

最先端加速器開発というのは、
ILCのような素粒子実験用加速器と非常に近い関係にあります。
技術的な側面はもちろん、
この様な高度な加速器を普及させるには、
人材の育成がとても重要です。
私は高エネルギー物理学の社会への貢献として、
加速器や放射線の技術をもった人材育成が
今後ますます重要になると考えています。

高橋徹より

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2006年11月14日

Re: Re: Re: INNERVISION 送りました。

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天満さま

遅くなってしまい、ごめんなさい。
トパーズ全体も八角形ですが、そうなった理由は
タイム・プロジェクション・チャンバー(略してTPC)の
形であったと思います。

当時トパーズのTPCは、新しいタイプの測定器でした。
第一世代は SLACの PEP4-TPCという測定器で使われました。
トパーズの TPCは第2世代でした。
新しいと言うこともあり、特に初期のころはいろいろ苦労がありました。
詳細はあと何十年かたたないと言えません…!?!?

高橋徹より
 

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2006年11月01日

Re: INNERVISION 送りました。

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天満さま

> TRISTANの記事を見ていて、
> これを命名した方は相当なワグネリアンではなかったか、と感じました。
> ワーグナーの代表作は、何と言っても
> 「ニーベルングの指輪(Der Ring des Nibelungen)」でしょう。
> TRISTANを真上から見ると、巨大なリングに見えます。
> 「ニーベルングの指輪」は、通称“Ring ”と呼ばれます。
> オペラでは4日間の通し、バレエでも4時間を超える超大作です。
> それで、加速器を見て、
> 「Ring… ワーグナー… トリスタン」なんてことを考えていました。

TRISTAN計画の立案から、建設の時期を考えると、
6番目のクォーク、トップクォークの発見というのが、
TRISTANの大きな目標であったと思います。
そのことから、加速器の名前は、
クォークという名前の由来を強く意識したものになったと思います。

ご存じの通り、TRISTANが発見を目指したトップクォークは、
その到達可能なエネルギーより、約6倍も重く、
フェルミ研究所の TEVATRONで1995年(だったかな)に発見されました。
しかし、私が実験に参加していたころは、そんなことは分かっておらず、
TRISTANでも発見の可能性があると真剣に考えていました。
そのため、実験中にその兆候らしきものがあると、そのたびに大騒ぎでした。
実験データの統計的な揺らぎなどでたまたまその兆候に見えたのですが、
それは今となっていえることです。
もちろん、やっている方もデータの誤差である可能性が高いことを
承知のうえで騒いでいるので、このようなことは決して公表はされません。
でも当時は真剣に騒いでいました。いまとなっては良い思い出です。
おもしろいことに、こんな兆候らしきものに対して、
どれだけ騒ぐかどうかは、実験グループの性格が大きくでます。
私たちのグループは比較的そんなことを言う方で、
他のグループに聞くと、「こんなに誤差が大きいのに、騒がなくてもいいよ」
みたいな反応だったりしました(笑)。

ところで、先日のメールで、TRISTANの実験室の名前が
大穂、筑波、日光、富士であったとありました。
KEKの航空写真をみるとリング中心からみて、、
筑波は筑波山、日光は日光、富士は富士山の方角にあります。
大穂は KEKの住所ですね。

ちなみに、測定器のとの対応は
大穂実験室AMY
筑波実験室TOPAZ
日光実験室SHIP
富士実験室VENUS
でした。
筑波実験室には現在 B Factoryの測定器 Belleが入っています。

ちょっと昔を思い出したので、長々と書きました。
それではまた。

高橋徹より

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2006年10月24日

Re: 「トリスタン」のNewtonをGetしました。

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天満さま

天満さんのご覧になった八角形というのは、
トリスタンの測定器の一つである、
トパーズ測定器を横からみた形だと思います。
ちなみに、他の二つは立方体でした。
トパーズの見た目が良かったためでしょうか。

映画、「首都消失」にも登場しました。
そのロケの時はトパーズ測定器の回りを
白衣を着た俳優さんが歩き回っていました。
実際の高エネルギー物理屋が測定器の回りで作業をするときは、
ジーンズにトレーナかTシャツ姿にヘルメットをかぶっています。
白衣で測定器の回りを歩くことはありません。
この辺も一般の方々のイメージとは大きく異なる部分でしょうね。
その後、トパーズは仮面ライダーにも登場しました。
こちらは、雑誌のみでした。

> TRISTANという命名は、相当なこじ付けですね。
> 知りませんでした。 び っ く り。
> クォークの命名の仕方は、いい加減ですね(笑)。

トリスタン実験が開始されて(1986年か87年ことから)、
最初の反応が測定器で観測された日には、
トリスタンのイゾルデが高エネルギー研の所内に鳴り響いたということです。

その準備のため、実験開始前夜は技術担当の職員が徹夜で準備し、
また実験準備などで疲れて宿舎で寝ていた大学院生は、
その音でたたき起こされた、という逸話が残っています。

最初の反応を観測したのは、ヴィーナスという測定器で
私がかかわっていたのもの(トパーズと言います)ではなかったので、
トリスタンとイゾルデでたたき起こされるという目には
私はあうことはありませんでした。

NHKのシリーズは私も1−2回見ました。
私は話の内容よりも番組としての見栄えの方が気になったのを覚えています。
テレビなどで話すというのは、研究とは別の訓練が必要だと感じたのですが、
いかがでしたか?

高橋徹より

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2006年10月20日

Re:恋する数学者

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天満さま

宇宙背景放射で思い出しました。
先日高校生に、
「宇宙背景放射は宇宙が生まれてから
 約30万年後の痕跡を残しているのだけど、
 それより前は宇宙を観測するという方法では見えないのだよ。
 だから、加速器で創りだしてしらべるのだよ」
と話をしていたら、となりにいた宇宙論の方が
「重力波ならば見えるよ」
と言ってきました。

もちろん重力波を測定すること自体がまだできていないのですが、
重力波観測は多くの人がチャレンジしています。

そういえば、ILC国際設計チームの長も
重力波観測計画のリーダーでした。
もしこれができると、インフレーションとか
重力と他の力がわかれたころの情報をもっていると
考えられているようです。これはこれでおもしろいですね。

それから、宇宙背景ニュートリノを観測することができると
宇宙誕生の1秒後の様子をみることができると言われています。
小柴先生の本にもこの話はでてきますが、
測定はとっても難しいです。重力波の方が現実的かな…?

高橋徹より

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2006年10月17日

2006年 ノーベル物理学賞

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天満さま

話はそれますが、
やっぱり、この時期はこの話題ですよね!
今年の物理学賞はCOBE(Cosmic Background Explorer)による
宇宙背景放射の観測でした。

宇宙背景放射は、ビッグバンの約30万年後の
宇宙の痕跡を現代に伝えてくれるのですが、
COBEは、そのころの宇宙が完全に一様ではなく、
わずかながら不均一だったことを発見したんです。

でも、最近話題をさらっているのは、
COBEの10年程後に精密測定をした
WMAP(Wilkinson Microwave Anisotropy Probe)です。
WMAPは第2ラグランジュポイントにおかれています。
某アニメではジオン公国のあるサイド2です。
最近の高校生にはこれも通じなくなってきましたが…(笑)。

宇宙物理+素粒子物理で宇宙創生の謎を探るというのが、
本当に現実味を帯びたのは、WMAP以後だと思います。

これをみて
COBE <-> 陽子加速器sppsによるWZボゾンの発見
WMAP <-> 電子陽電子加速器LEPによるZボゾンの性質精密測定
という対応を感じました。

LEPのZボゾンの精密測定は
21世紀の素粒子物理に大きな指針をもたらしました。
ILC もそれに乗っていると言えると思います。
sppsはすぐに(LEPの前)にノーベル賞が与えられたのですが、
もしLEPの後だったら物議をかもしたかもしれませんね。
COBEにノーベル賞をあげるならば、WMAPの前にしてほしかったな。

高橋徹より

※ゆくゆくこの往復書簡のメンバーに
 なっていただく予定の岩田正義先生にも
 以下のようなコメントいただきましたのでお伝えしますね!

衛星COBEの成果が公表された直後、
テキサスでの高エネルギー物理学国際会議で
スムートさんの特別講演がありました。
わかりにくい英語、超満員、大喝采といった点が印象に残っています。
かなり経ってから、当人の研究歴を振り返った本を読みました。
記憶が正しければ、最初は泡箱写真解析、
そして空からの反陽子探索に従事。
後者では、気球がブラジルまで飛んで漁船にひっかかったとか、
気球の変わりに空軍の飛行機(特にU2)をつかわせてもらったとか…

そして宇宙背景輻射の精密測定計画を立案。
理由は覚えていませんが、打ち上げ計画は何回も延期され、
準備期間が10年を越える計画になってしまいました。
しかし諦めずに機器の改良を進め、やっとこさ打ち上がったのです。 これを読んだとき、課題の重要性を深く理解し、
外的条件による大幅な遅延にもめげずに
準備研究を継続した研究者、そしてなかなか成果に到達しそうも無い
プロジェクトを支え続けた研究所(LBL)の両方が偉いと思いました。

もうその本は処分してしまったし、タイトルさえ覚えていませんが、
ノーベル賞をきっかけに、なつかしく思い出しました。

岩田正義より

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2006年10月13日

Re: やっと「トリスタン」を思い出しました。

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天満さま

トリスタンを思い出されたとのこと。

以前に言ったことがあるかもしれませんが、
私はこの実験で学位を取得しました。
その後 SLACへ言ったわけです。
ですので、トリスタンには
その建設期から深く関わっています(大学院学生としてですが)。

ご存じかもしれませんが、トリスタンという名前について少し…
トリスタンという名前は、、まさに
ワーグナーの歌劇「トリスタンとイゾルデ」をふまえています。

この歌劇(正確にはこれのもとなった「フィネガンのウエイク」かな?)の中に、
鳥がクォーク、クォーク、クォークと3回鳴くという場面があるそうです。
当時、陽子や中性子の内部構造として提唱されていたものは
3種類必要であると考えられていたので、そのモデルの提唱者の一人、
ゲルマンが3回というのひっかけてクォークと名付けたということです。

よくあるように、トリスタン(TRISTAN)という名称に
無理矢理に意味をつけてもいます。
いちおうTRISTANは
Transposable Ring Intersecting Storage Accelerator in Nippon
日本おける転用可能な衝突型円形蓄積加速器の略ということになっています。

「転用可能」というのは当時はあまり意味は無かったのですが、
世界最高エネルギーの加速器としての使命を果たした後、
現在はBfactoryのリングとして活躍しています。

これは転用というより、発展ですが、
あながち意味のない言葉でもなかったようです。

高橋徹より

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2006年10月06日

Re:リニアコライダーの勉強をしないと!

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天満さま

ご協力いただけるとのこと、感謝です。
いろいろな方の視点からの記事をお願いできたら良いなと思っています。

リニアコライダーをよく調べた上での記事も歓迎ですし、
そうでなくて、執筆者のかたの夢や希望(憶測?)が
前面にでたものでも好ましいと考えています。

参考文献については今すぐには思いつきませんが、
最近(といっても1〜2年くらい経っているかも)
ニュートンに東大の森俊則さんが監修された特集があったと思います。
詳しいことが分かったら連絡します。それとも、もうご存じでしょうか。

高橋徹より

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2006年10月04日

ちょっと勝手なお願い

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天満さま

今日はお願いがあってご連絡差し上げました。

私たちは将来計画として線形加速器をつかった実験を提案しています。
先日の講演会で駒宮氏が話した内容です。

この計画を広くつたえるために
http://linear-collider.org/
というサイトもできています。

研究機関などから独立した自由な立ち位置のILC計画応援サイトで
どんどん中身を充実させていかなければいけない段階とのこと。
であれば、私も何かコンテンツを…と考え
すぐに、天満さんのことが頭に浮かんだのです。

内容はなんでも良いと思いますが
天満さんの、素粒子や宇宙への想い、
いろいろな講演会などを聞かれた感想、
私たちの取り組みについての感想・ご意見、
天満さんの中でのバレエと物理とのつながり、
などなど、お聞かせいただけませんでしょうか?

ご検討いただけますか?

高橋徹より

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2006年10月03日

はじめのごあいさつ

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こんにちは。高橋です。

この「物理屋往復書簡」は、
ILC(国際リニアコライダー)計画のことを
多くの人に知ってもらいたい、そんな活動の中で生まれました。

広島大学での公開講座を受講していた天満さんに、
ILCのWEBサイトに原稿を寄せてほしい、と頼んだところから
ことは進んでいきました。

記事を書くために素粒子物理のことや
ILCのことをもっと知りたいという天満さん。
そのために私とメールのやりとりをするようになりました。

いよいよ、
コンテンツについて考えようかという段階になって
私たちは、たまったメールを読み返してみました。
すると、原稿を新たに作るより、このメールのやりとりを
公開したほうが面白いのでは!? という考えが浮かんできました。

カッコよく言うと、専門家と一般市民の対話… 
いわゆるパブリックアウトリーチ! の、はずなのですが、
話は物理のことだけでなく、あちこちに飛んでいきますので
気長にお付き合いいただければ、うれしいです(笑)。

はじめはふたりの対話ではじまりますが、
元高エネルギー加速器研究機構
素粒子原子核研究所副所長の岩田正義先生までも
巻き込んいくことになりそうですのでお楽しみに。
巻き込む人は、もっと増えるかも知れません。

さてさて、いったいどんな
往復書簡となるのでしょうか…!

高橋徹より

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