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2010年02月24日

学習と科学

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皆様

今日、娘がとっている「3年の科学」3月号が届きました。
いつもの本と付録の他に、今回は「おうちの方へ」
と書かれた封筒が入っていました。

以前にも書きましたが、「学習」と「科学」は
3月号をもって休刊となります。
私は小学生の頃、「学習」と「科学」の両方を
買ってもらっていました。
今では考えられませんが、
その頃この雑誌は学校を通じて販売されていました。

つまり、毎月の発売日には、学校で受け取るのです。
付録をすぐにも開きたいところですが、
さすがに学校でそれはできません。
早く付録を開けたくて、毎月発売日は付録を抱えて
飛ぶように家に帰っていたのを思い出します。

数ヶ月前にニュースは聞いていましたが
自分が子供の頃読んでいた雑誌の最終号を
娘が手にしているのを見ると、感慨深いものがあります。

一応休刊となっていますが、復活する日はくるのでしょうか
「大人の科学」は売れているのにね。

高橋 徹より

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2010年02月16日

Re:キンドル

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みなさま

大変ご無沙汰してしまいました。

最近つくづく思います。本を専用の薄い端末に読み込んで、
好きなときに横になって、好きなだけ拡大して読みたいなーと。
高橋さんはもう手に入れて楽しんでいる様子。
さすが現役は行動が速い。

僕は本を読むときは、めがねをいつも外していましたが、
さすがに小さい字はますます見にくくなってきました。

そんなとき、N. DeMilleの“The Gate House”という、
とてもおもしろい小説(ペーパーバックス)に出会ったのです。
そこで、加速器科学研究会のために東京へ出た折に、
同著者の他の小説を数冊買い込んできました。
ところが、いざ読もうと本文を開いてみたら、小さな字がぎっちり、
8ポイントくらいです! こんな不親切な本でも、
拡大して読みたいのです。

もうひとつ、寝転がって読むのがつらいのは、分厚い本です。
極端な例が、朝鮮戦争の実情を書いた故D. Halberstamの
“The Coldest Winter”です。
約700頁で厚さが5センチくらい!
読んでいるときは、頭じゃなくて腕力を鍛えている感じでした。
数100グラムを支えるだけで、こういう本も読みたいのです。

というわけで、電子書籍端末なるものが
ひどく気になる今日この頃です。

岩田 正義より

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2010年01月07日

amazonキンドル

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皆様

新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

このタイトルで何の話か分かりますか? 
電子書籍端末の話です。
ちょうど一年前に、出張や普段使いのカバンの話をしました。
http://linear-collider.org/dialogue/2009/01/
カバンも重要ですが、入れて持ち歩く物を
いかに軽くできるかも大事です。

研究会や会議の際には
どうしてもある程度紙の資料を持ち歩く必要があります。
それに長時間の移動の時には、小説なども欲しいですね。
紙の資料や本はかなり重いし、かさばります。

特に英語のペーパーバックなどは、分厚い物が多くあります。
表意文字を使う日本語のすばらしさを実感する時です。
そんなこともあり、以前から電子書籍には注目していました。
それもいちいちパソコンで読むのではなく
もっと手軽に読める方法で、です。

最近携帯電話で小説や漫画を読むのが流行りはじめていますが
電子書籍を読むための専用端末というのがあります。
日本でも数年前にソニーや、パナソニックが発売したのですが
売れなかったようで撤退してしまいました。
でも外国では結構売れているのです。
ソニーも米国では販売を続けています。
どうして日本ではダメだったのでしょうね。

そういえばスマートフォンも国外では以前から人気があったのですが,
日本で売れ始めたのはつい最近。
(この話もカバンの話とあわせてしましたね。)
不思議です。

さて、電子書籍端末のひとつにamazonが出している
キンドル(kindle)というのが
あります。これが結構良いらしくて注目していたのですが
最近日本向け(実際は世界100カ国向け)にも販売が始まりました。
なんとこれ、amazonでキンドル用の本を買うと
携帯電話の回線を使って1分ほどで自動的に手元の端末に
送られてくるのです。
PDFファイルも読めます。

これで、小説(残念ならが英語のみです)も資料も
これ一つで持ち歩けます。
重さは300gですが、小説1500冊分の容量があります。
というわけで買ってしまいました。
(家族には、自分で自分のためのサンタをやったと
言い訳しています。)

購入して日が浅いので、本格的使うのはこれからですが
小説も資料も読めます。
ただ著作権の関係で、日本では購入できない本があります。
もともと小説用で、画面が小さいので、
英語の論文だとかなり文字が小さくなりますが
解像度が良いので、読めないことはありません。

発表用のスライドや日本語の資料は、十分読むことができます。
(大きなサイズもあるのですが公式に日本向けでないことや
重さが500gを超えるのでやめました。)

これで長時間のフライトも苦にならない、、、かな?

高橋徹より

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2009年12月30日

新年はラジオから

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皆様

早いもので今年も残すところあと少しとなりました。
今年もいろいろありましたね。
この往復書簡でも今年を振り返ろうと思っていたのですが
それより先に来年の話題が飛び込んできました。

今年は 1 月の始めに新聞で私の研究やILCの話が紹介されました。
(あれれ、この話はこの物理屋往復書簡では
お話していなかったようです。)
来年は新年早々ラジオに登場することになりそうです。
一昨年の夏に,国際ガンダム学会準備会議に出席したことは
お話したと思います。
http://linear-collider.org/dialogue/2008/08/post_70.html
その話を聞きつけた広島のラジオ局から
ロボットアニメについて話を聞きたいと行ってきました。

1 月 16 日に
「中四国ライブネット 広島発!
人生で大切なことはすべてアニメから教わった~昭和アニメ人生訓~」
という番組で放送したいのだそうです。

ロボットは全くの専門外ですので、ディレクターの方に
「ロボットは専門ではないですよ。
どちらかというと、今年の 8 月に中高生向けにお話しした
"物理学からみた空想科学の世界"の方が
番組の趣旨にあったお話ができかもしれません。」
というようなことお話ししました。

そうしたら
「宇宙戦艦ヤマトで描かれたSFはどこまで現実可能か?」
をテーマにしたいということになりました。
確かに私は宇宙戦艦ヤマトの世代です。
たぶんほとんど見ていると思います。
う~~ん、どんな話になるかな。

正月の宿題ができました。
素粒子や宇宙やILCの話を挟むことができるのかどうか
やってみなければ分かりませんが。
どんなことになるか楽しみです。

取材(録音)は 1 月 8 日、
ボツにならなければ 1 月 16 日の午後 6 時から放送されます。
その顛末は新年のお楽しみです。

高橋 徹より

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2009年12月17日

ミュンヘン便り

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皆様

 11月20日に高松で高校生向けにセミナー
(お昼は讃岐うどんの有名店に連れて行ってもらいました)
11月22日から26日までミュンヘン、
11月28日は大学で女子中高生対象のセミナーと
慌ただしい日が続きました。
話題がたまっていますが、まずミュンヘンの話からしましょう。

今回は、最近検討している研究計画の打合せと情報収集でした。
とても強度の高いレーザーと電子をぶつけてみようという
ちょっと乱暴(?)な話です。
高エネルギー加速器実験とは少し違う観点から素粒子実験が
できるかもしれないということを検討しています。

ところで、ILCもそうですが
一般に素粒子実験の計画は
過去の実験や理論を土台にして、
可能性や実現性をできる限り詳細に検討しています。
高強度レーザーの話も、もちろんいろいろ検討しているのですが
素粒子実験の感覚からいうと、
おおざっぱというか「面白そうだからやってみよう」
という考えが強めにでています。

日本でこのような計画は
あまり一般的ではないと思いますが
最近ヨーロッパで Extreme Light Infrastracture (ELI) という
高強度レーザーの大プロジェクトが動きはじめました。

このプロジェクトは、基礎物理から応用まで含んだ大きな計画で
多くの人による詳細な検討がなされていますが
それでもこの計画が実現する背景には
「何が起こるか分からないけれどもやってみよう」
ということに関する寛容さがあるような気がします。
岩田さん、山本さんはいかがお思いですか。

ミュンヘンのビアホールの報告は次回にしましょう。

高橋 徹より

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2009年12月05日

基礎科学は「コンクリート」ではなく「人」

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皆様

「事業仕分け」が一通り終了しました。
 この「国民の目線」から行われたという作業は
基礎科学に大きなダメージを与える結果となっています。

例えば、世界的な放射光施設である Spring8 は
半分ほどに削減され、
スーパーコンピュータは事実上廃止となったと聞きます。
放射光施設は物性物理学を中心にハイテク産業を
維持発展させて行くために欠かせないものです。
そして、スーパーコンピュータは、韓国や中国の追撃に
敗退してしまわないために
大きな役割を果たすはずでした。

日本の高エネルギー物理学に対しても
大きな削減を要求しています。

一方、国民の大半は「事業仕分け」を
大筋で支持しているようで、
また、政府の支出が収入の約 2 倍になるという
危機的な財政状況から
いったん「事業仕分け」で廃止/縮減となった事業が
復活するのは、よほどのことがないかぎり難しいと言われています。

「よほどのこと」とはなんなのか。
仙谷行政刷新担当相は、会議後の記者会見で、
「国民の納得が得られる説明」がなされれば、
復活の可能性もあると言っています。

なぜ基礎科学は大幅な削減の対象になったのか。
民主党は「コンクリートから人へ」というスローガンをかかげて
政治の根本的な改革を目指していますが、
どうも、基礎科学は「コンクリート」に入れられたようです。

将来の「ものづくり日本」を支えて行くのは
独創的なアイデアをだす「人」、
精密な作業をこなす「人」、
そして組織をまとめ、動かす「人」
であることは間違いありません。

でも、基礎科学は「コンクリート」ではありません。
たとえば高エネルギー研究所の加速器施設を見るとき、 
直接見えるのは建物の壁かもしれませんが、
中には、世界トップレベルの科学者や技術者による
最先端の電磁場発生装置があり、
超高真空機器があり、
それらが、「我々はどこから来たのか」という
疑問に答えるために稼働しています。

そして、それらの科学技術は日進月歩。
それらの科学者や技術者が少しでも研究開発を怠れば
みるみる世界から取り残されて行きます。
本当に見えているのは
世界をリードする「人」です。

また、それらの施設が生み出す科学的成果は
日本の若者を刺激し、
「理科離れ」に対する大きな処方せんとなっています。

高エネルギー研究所の実験によって実証された小林・益川理論や
LHC、リニアコライダーでの研究対象となる南部の理論は
2008 年ノーベル賞につながりました。
それは日本の若者に大きな希望を与え、
私の大学でも物理学志願者が倍増しました。
基礎科学は将来の「ものづくり日本」を支える「人」をつくっています。

さらに、基礎科学は国際的です。
たとえば高エネルギー研究所は
年間約 6,000 人の研究者を受け入れていますが、
そのうち約 1,000 人は海外からです。
そのほか直接日本に来なくても、
共同研究として日本での実験に参加している研究者は
その何倍かいます。

それらの人々が「我々はどこから来たのか」という
ひとつの目的に向かって邁進しています。
会議はもちろん英語で、
家族ぐるみでの国際的おつきあいも少なくありません。
基礎科学は国際的な「人」をつくります。

ともすれば、
基礎科学は一般国民にその価値を理解してもらいにくい
巨大な財政赤字のときに
「子育て支援」や「高速道路無料化」と
「宇宙がヒッグスでみたされているかがわかる」を比べれば、
すぐ理解できる「子育て支援」や「高速道路無料化」をとるでしょう。
でも上に述べたように、
基礎科学は日本の未来を支える「人づくり」なのです。

山本 均 より

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2009年11月16日

Re:続ロシア・スタイル

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皆様

少し前の書簡ですが、
山本さんと岩田さんのロシアについてのやりとりを読んで、
昨年行ったノボシビルスクのことを思い出しました。
http://linear-collider.org/dialogue/2008/05/
アメリカやヨーロッパに比べると、強烈な印象でした。

世界有数の大国のはずなのに、
サスペンションが壊れたぼろぼろのバスが
いたるとこで現役だったり、
町を走っている車のボディには
外国語がそのまま残っていたり
日本では考えられません。

その中に混じって、高級車もちゃんとあります。
町のスーパーは、欧米諸国と遜色ない品揃えです。
不思議な感覚でした。

でも、今一番記憶に残っているのは、モスクワ空港です。
ノボシビルスクからの帰りは、
モスクワ空港の国内線ターミナルに到着して
それから国際線ターミナルに移動するのですが
行き方が全く分からない。

航空会社の連絡バスがあるはずなのですが、
待てども待てども来ません。
(行きの国際線から国内線への移動の時はすぐにあったのです。)

外でしばらく待っていたのですが、
あきらめて公共交通機関のバスで移動することにしました。

バス乗り場は長蛇の列。
それに乗車に異様に長い時間がかかります。
乗るときに分かったのですが、
バスの運転手が乗客1人1人にチケットを売っています。
時間がかかるはずです。
でも、受け取ったチケットは磁気メモリーの入った
ハイテクのものです。変ですね。

そんなこんなで、ほんの数キロメートルの移動に
何時間もかかりました。
5 月だったので、外で来ないバスを待っていても
大丈夫でしたが、これが寒い時期たったらと思うと
ぞっとします。

まだまた驚いたことはたくさんあったのですが、
とても書ききれません。

これでも以前に比べると、はるかに良くなったと聞いています。
こんな冒険旅行を苦にしない方もたくさんいるでしょうが
私はまた行こうと言う気にはなかなかなりません。

高橋 徹より

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