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vol.5 宇宙に満ちたヒッグスの海
ヒッグス粒子は質量の秘密を解明する手がかり。でも、それって一体どういうこと?
最後のひとつ!
物理学者の夢。それはこの世の中のあらゆることを、たったひとつの「究極の理論」で説明することです。私たちの宇宙の中で起こることはすべて、「4つの力(電磁気力、弱い力、強い力、重力)」に支配されています。地球が太陽の周りを回ることも、携帯でお話しができることも、すべてこの4つの力で説明することができます。
4つの力は始めから4つだったのではなく、宇宙が始まったときはたったひとつの力だったのではないかと考えられています。つまり時代を遡れば、4つの力は究極のひとつの理論で説明できるはずなのです。分化した4つの力のうち、電磁気力、弱い力、そして強い力の一部を合わせて説明できるのが「標準模型」です。
標準模型は、とてもよくできた理論で物理学者が目指す究極の理論の礎になります。ただ、標準模型が“あるはず”と予測している素粒子の中に、たったひとつ、未だ発見されていないものがあります。それが「ヒッグス粒子」です。

ヒッグス粒子が生む質量
物には質量があって当たり前、と思うかもしれません。しかし、物理学では、ヒッグス粒子があって初めて物が質量を持つのだと考えられています。イメージしてみてください。たくさんの人が談笑しているパーティ会場に、エライ先生が入ってくると、みんなに取り囲まれて、なかなか前に進むことができなくなりますよね? 同じように、ヒッグス粒子は宇宙に満ちていて、物体が動くときに抵抗として働く。これが質量の起源であると言われています。
ヒッグスマンガ1ヒッグスマンガ2ヒッグスマンガ3

©CERN Geneva

もうすぐ発見!
2000年9月、ヨーロッパの加速器実験でヒッグス粒子らしき信号がでた、というニュースが世界を駆け巡りました。同じ加速器を使った4つの実験のうちひとつの実験(ALEPH)で得られた信号だったのですが、残念ながらデータの数が少なく確実な証拠にはなりませんでした。
しかし、物理学者はヒッグス粒子がもう少しで発見できるだろうと、強い手ごたえを感じています。これまでの実験で、ヒッグス粒子の質量は114GeV以上、186GeV以下であることがわかっています。2007年にはいよいよ、ヨーロッパに建設中の巨大加速器LHC(*1)が稼動するので、そこでヒッグス粒子が発見されるのではと期待されています。そして、ILCには、ヒッグス粒子のさらに詳しい性質を調べる使命が持っているのです。

(文・横山広美 http://www.hiromiyokoyama.com/
*1)LHC とはLarge Hadron Collider(大型ハドロン衝突型実験)の略。



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